つながらない場合





更新 030320
初稿 020127


1.水を疑う

指定のそば粉を使って、書いてあるとおりに打っているのに、どうしてもつながらない場合があると思います。菊ねりは修練が要ると思いますが、それ以前に玉にならない。ちょっと練るとシャリっと崩れるという場合は、とりあえず水を疑ってください。

わたしは通常は自宅の水道水に浄水器をとおしたものを使っています。蕎麦を打つにはまったく困らない水です。私の地域の浄水場の水質検査結果 (平成13年度)を見ると、硬度86〜54で平均70(mg/l)程度ですから、まあ軟水〜中軟水といったところ。

しかし浄水場の規格は硬度300(mg/l)までOKとなっています。水道水としてはそういう硬度もアリということですね。たとえば山間部ではミネラル分が多い硬水になっていることがあると思います。まして井戸水や湧き水はかなりの高硬度もあり得ます。

ところが硬水は蕎麦打ちを難しくするんですね。理由はミネラルが蕎麦粉を硬化させるからです。たとえば中軟水のほうが超軟水より蕎麦にコシが出るという意見があります。実際カミさんの実家付近には蕎麦打ちに適するという湧き水があり、近所の人が年越し蕎麦を打つのに大晦日には行列を作って水を汲みますが、自宅の水より硬度が高いんでしょう、自宅で打つよりコシがでます(加水率も1%くらい上がります)。

で、私の場合は「コシがでる」ですみますが、これが行き過ぎるとつながらない人もいるでしょう。つながりを阻害するところまで行ってしまうわけです。

そういう感じで水が疑われる場合は、市販のミネラルウォーターから硬度の低いものを選んでみるといいでしょう。硬度はボトルに書いてあることもありますが、書いてなくても成分表がついていれば、下記の数式で計算することができます。

 硬度(mg/l)=Mg(mg/l)×4.1+Ca(mg/l)×2.5

これで計算して、硬度100以下を日本では軟水というようです。国際的には60以下を軟水といい、60〜120をそれ以上を中軟水と呼ぶ分類もあります。

たとえば私のもっとも好きなボトル詰め水は、ポルトガルのルソという水ですが、これは、

硬度=1.57*4.1+0.65*2. 5=8.1

というとんでもない軟水です。もちろんそばうちにも向きます。つながりにくい超粗挽き粉は水道水より硬度の低いボトル詰めの軟水で打つことが多いですが、最近はもっぱらルソを使っています。実は最近、御膳粉を水練りの生粉打ちでつなぐという快挙に成功しましたが、この時に使った水もルソです。

ルソの場合、単に軟水というだけでなく、カルシウムが少なくて、ナトリウムとマグネシウムが多いという組成が味の良さにつながっていると思います。興味のある方は一度お試しください。私はメルカード・ボルトガルから購入しています。おいしいですよ。

硬度10以下は例外的ですが、30前後の水は結構あります。たとえば「南アルプスの天然水」。これが硬度30です。これも胡桃亭の粗挽きそば粉が水道水より明らかにつながりやすいですし、ダシをとってみましたが、つゆが美味しくなりました。実はダシとりにも軟水が向くそうですが、この水はどこでも入手できるのでオススメです。

「越後の名水」という水も美味しくて好きな水ですが、この文章を書くのに改めて表示を見たら硬度24。しかも「軟水だからからだにやさしい」なんて書いてある。こんな表示、気づきませんでした。

このほかダイエー開発商品で「北アルプスのおいしい水」というのが硬度20ですね。これも美味しい水です (同じダイエーの「富士山のおいしい水」というのも低硬度ですが、これは別)。

なお、中程度の軟水で蕎麦にコシを出したいというのなら、有名な「六甲のおいしい水」が硬度84なので挑戦してみてください。正直なもので、自宅の水道水よりやや打ちにくいですが、つながらないということはないと思います。

まあ私の知っている範囲の水で目ぼしいところは、こんなところでしょうか。というわけで、水道水でどうしてもだめな場合は、まずこうした軟水をお試しください。


2.水を変えてもだめな場合

水を変えてもだめな場合は、もしかすると加水が速すぎるかもしれません。一般には、ていねいすぎるのは水練りの失敗の原因ですので、本編では「なるべく速い加水」を強調しています。

しかし、いくら速いといっても、分散加水を水が分散しないうちに打ち切ると加水不足になり、玉が硬くなりすぎます。延しにはいって難儀するようなら、「最初の分散加水」を少し時間をかけてパン粉を細かくし、逆に「くくり加水の二回目と最後の加水」を少し急いでください。くくり加水はまとまるのを待ちながら加水して行くわけですが、少し急いだほうが水が多く入るのです(もたもた触っていると、加水が少なくてもまとまってしまいます)。感じとしては「緩いかな」と思う程度の玉を作るわけです。

まあ、すでに「自然にまとまるようなくくり」ができていれば、あと少しの微調整で必ずうまく打てますので頑張ってください。


3.どうしてもだめな場合

どうしてもだめだと打つのがいやになる恐れがあります。それはまずいので、ある程度打って上手くいかなかったら、同じ高山製粉「八ヶ岳」を打ってみてください。甘皮に近いタンパク質の多い部分が挽き込んであるので、これならつながると思います。もちろんこの蕎麦粉も非常においしい蕎麦になります。

八ヶ岳でつながったら白樺に戻って、ひたすらつながるまで練習してください。


4.指定外の粉の場合

実は「つながらない」というご相談で、詳しく聞くと、実はそば粉が違うというのが多いんですね。このWEBのそば打ち編ではそば粉を指定していますが、それは加水率はもちろん、まとまって行く過程が書いてあるとおりになり、みなさんが理解しやすいからです。

最近素人向けの蕎麦打ち本が続々と発刊されますが「必ずつながる」と書くわりにそば粉の指定ひとつしておらず、基本的には不親切だと思います。

したがって、とにかく白樺か、それに感じが近くてまとまりやすい八ヶ岳で練習するのがおすすめなんですが、ご自分で入手したそば粉で打ってみたいという方も多いでしょう。そば粉を入手してから、打ちかたを求めてこのWEBにたどり着いた方もいらっしゃると思います。

で、指定外のそば粉でつながらない場合は、まず水を疑い、水が無実だったら、やはりそば粉を疑ってください。

私はそば打ちを始めたころ挽きぐるみに近い粉を使っていました。本来つながりやすいはずのそば粉ですが、実際は「白樺」よりつなぎにくく、本当に難しいそば粉でした。味は悪くなかったんですが、とにかく気難しくて、一旦玉になったのに菊練りを始めると玉がボロボロになってしまうこともしばしばでした。初心者には絶対に勧められないしろものですね。生粉打ちに恐れをなしてしまいます。

私は未経験のそば粉をまったく恐れませんが、理由はこの時期に経験したそば粉より難しいそば粉はまず滅多にないからです。最近では、会津桐屋の頑固粉というのが難しかったですが、koji師匠によると、通常湯ごねする粉だそうで、水練りでつなぐ人は珍しいとか。これも気を抜くとシャリっと崩れてしまう粉でしたが、それでも初心者のころのそば粉にくらべたら全然楽な粉です。

というわけで、つながり易いはずの挽きぐるみ粉なのに白樺より難しい粉があるということは認識してください。成功の秘訣はそば粉にありです。



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