簡単に作れる本格つゆ

作り方



更新 040407
初稿 040224


1.まえがき

かないまるの標準蕎麦つゆは、厚削りの本節でダシをとり、十分寝かしたかえしとあわせるのが基本です。しかし、厚削りを何十分も煮詰めたり、かえしを寝かしたりというのは少々ハードルが高いかもしれません。

そこで、とにかく短時間で作れることをめざしたダシを調整していましたが、おいしくなってきたのでご紹介しましょう。

かえしは作るものの、全く寝かさずすぐに使えますし、ダシも短時間に少量で作れます。今回のレシピも完成量で約550cc程度ですから、作りすぎでムダにしてしまうということもないと思います。

それから、このつゆは作り上げるのに時間はかかりませんが、けっしてローコスト狙いではありません。ダシもたっぷり使い、味についてはけっして妥協はしていません。どちらかというと軽くて優しいつゆです。是非一度お試しください。


2.材料

2.1.かつお節 (薄削り)

節は薄削りです。このつゆはごまかしが効かないので、節はいいものを使ってください。



まずスーパーで売っている節からヤマキの「新鮮一番・花かつお・一本釣りかつお使用」を選定しました。この節はとても美味しいですが、どこでも売っているようですし、アルミパック入りで鮮度が高く、開封すると削り立ての風味がフワっと広がる良品です。やや高価ですが (大手は宣伝費や固定費が高いので、美味しい節は高い傾向があります) その価値はあります。



築地伏高のかつお荒節の削り節 (画像は旧称「一本釣鰹荒節」当時)もお勧めです。ヤマキの節と同種の原料を使っていますが、脂肪分の少ない原料を使いやや厚く削っているそうで、しっかりとしたダシがとれます。伏高から厚削りを購入している方は、一度ついでに注文してお試しください。送料を考えなければ、ヤマキより安価です。

このほか、同じ伏高鰹荒仕上節の削り節 (旧称:近海鰹荒仕上節の削り節) も美味しいダシがとれること必定です。

一方、100グラム200円くらいで売っているような徳用パック品は同じ薄削りですが、旨みが少なく生臭いものもあり、お勧めしにくいです。もちろんアタリもありますが (それはお買い得ということになります) 過大な期待は禁物です。

なお、本節をご自分で削る方は、節をグラムで量って同様にお使いください。


2.2 醤油とみりん

醤油はヒゲタの「うすいろ」というのを指定します。もともと本職用の醤油ですが、昨年1.8リットルのビン詰めが発売されて、素人も買いやすくなりました。

みりんは有名な「三河みりん」を指定します。旨みが濃くてスッキリとした甘味も上品で、このような即用のかえしに最適です。

これらの醤油とみりんは豊島屋さんで通販で購入可能です。
味醂はこちら (あるいはこちら)。
醤油はこちら (あるいはこちら)。


2.3 .水

水は硬度30以下のミネラルウォーター (ルソ南アルプスの天然水など) か、水道水をゆっくりゆっくり浄化したものを推奨します。硬度が低いほどダシは濃く出ます。

家庭用浄水器を使う場合は、なるべく流量を絞り、ゆっくり浄化してください。小型のものは濾過フィルターをマメに交換すること。またミネラル添加の機能のあるものは、水の硬度が上がってしまいますので避けてください。

この文書を作っている今は、冬場ということで結構水道水が美味しいので、現在私はアムウェイの浄水器を通した水道水を使っています。まず茹で湯のための水をとり、タンク内の水を完全に新しくしてから、糸を引くような流量まで落としてさらに少し流してから、そのままの流量で数分かけてカップにくみ取っています。


3. かえしを作ります

かえしの材料は、

・みりん80グラム
・醤油200cc

です。これで約二回分強あり、少し多いのですが、この量で作ってください。

3.1 みりんを煮きります



みりん80ccを弱火て加熱し煮きります。沸騰したら火力を落としてチャッカマンで着火しアルコールを燃します。

本当は着火しないほうがみりんが焦げなくていいのですが、アルコールが抜けたらただちに加熱をやめたいので、今回は着火してください。慣れたら時間で管理して、着火しなくても結構です。


3.2 醤油を加えます。



アルコール炎が消えたら加熱を止めます。泡がおさまってから醤油200ccを加えます。そのまま放置して冷めたら出来上がり。出来上がりは約250ccです。

というわけで、これ、生がえしですね。みりんが熱いので半生がえしかな。ところが、みりんも醤油も大変に味がやわらかいので、このかえしは寝かさないですぐに使えます (もちろん寝かしても使えます)。

なお鍋はホーロー引き、テフロン引き、ステンレス製のいずれかをお勧めします。私はアム鍋の厚手小型のミルクパン (ステンレスで鉄を挟んだ三層構造) を使っていますが、余熱が大きいので、半生返しが短時間でまろやかになる感じがします。

ちなみにアルミ製の雪平鍋はやめましょう。アルマイトが傷んでいるケースが多く、醤油とアルミニウムが反応して味が悪くなります。同じ理由でアルマイト鍋はつゆ作りにも不向きです。ダシとりの途中で一時的に使用する以外は、使わないのが無難です。


4. ダシとり

かえしを作ったらダシとりに移ります。材料は花かつお35グラムです。つまりヤマキのパックを一袋全部使ってしまいます。伏高の場合は100グラム売りなので、33〜34グラム使ってください。

作り方は、まず手鍋に湯を沸かします。湯量は500cc。沸騰したらトロ火にして、さらに2〜3分維持します (カルキ、トリハロメタンなどを除去するためです)。






菜箸で節を湯に沈めます。そのまま菜箸で節をせっせと左右に振ります。布巾を振り洗いすると綺麗になるのと同じで、節を揺すると旨味がよく出ます。



また時々鍋を回転させるように振り、節の向きを変えます。菜箸を併用してもかまいません。日本料理ではダシが濁ることを嫌うので、このように節をいじめることはしないようです。でも蕎麦つゆは色が濃いので問題ありません。

この作業は、節を投入してから 2分30秒続けます。

2分30秒たったらただちにダシを濾します。だし濾しについては別項「画期的! お茶パックだし濾し法(コラム26番)をご覧ください。少量のダシとりには最高の方法です。

ところで、どちらの方法でやっても同じですが、薄削りのダシガラには節の旨みが約20%近くも残っています。ここで作っている一番だしは濃いものなので、その20%を捨ててはまことに勿体ないことです。なので必ず二番だしをとって利用してください。

二番ダシのとり方は、もう一度500ccの湯を沸かし、湯が沸いたらダシガラを投入。再び沸騰したら弱火にして2分加熱し濾し分けます。二番だしをとれば、節の旨みを9割以上取り出したことになります。

二番だしは暖かい蕎麦用につゆを延ばすのに使ったり、煮物、味噌汁、ラーメンスープのベースなどに広く使えます (ちなみに厚削りはあまり旨みが残りません)。


4. つゆを作ります

ではつゆを作りましょう。材料は、

・今とったダシ (約350cc)
・ダシの1/3.5 (〜 1/3) のかえし

です。

まずとれたダシを計量して、よく洗った鍋にもどします。節を煮た鍋にはダシのカスが着いていることがあるので注意してください。



ダシを鍋にもどして沸騰させます。沸騰したら火を止めて、泡がおさまったらかえしを入れます。かえしはダシの1/3.5が標準です。濃いめがいい場合は1/3まで増やしてもかまいません。かえしは一気にドっと入れてください。



温度計を使い、攪拌しながら90〜92度まで温度をあげます。温度は高めで丸くなり、下げると切れがよくなります (93度以上に上げるとまずくなります)。このへんはお好みでどうぞ。私は現在 92度です。



鍋蓋をして冷めたら出来上がりです。そのままゆっくり冷ましてください。2時間もあればOKでしょう。すぐ使えます。

さらに24時間放置すれば、より味が馴染みます。湯煎はお好みで。手間をかけるほどおいしくはなりますが、そこまでしなくても十分おいしいです。



これは保存用のガラスボトルに入れた状態です。ガラスボトルを熱湯消毒して熱い状態にして、つゆができた直後に移してもかまいません。つまり徐冷をガラスボトルでやるわけです。

このボトルはこのまま食卓で蕎麦つゆ徳利になりますし、湯煎もできるのでとても便利です。

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一茶庵系のそば屋さんは、ダシには薄削りを使っています。これは一茶庵当主の片倉さんの本に明記してあります。ですから関東のそば屋がすべて厚削りというわけではありません。

また関西のそば屋さんは薄削りが多く、かえしも作らないようです。かえしをとるのは江戸の智恵ですので、これは作ることをお勧めしますが、薄削りを使うことは、風味もよく節の入手も簡単で素人に向きますので、どうぞお試しください。


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