鹿児島産の抜きを歩留り76%で挽いてみました


更新040512
初稿040429


では実例です。玄蕎麦は頂き物の鹿児島産です。品種などはわかりませんが、とあるおそば屋さんが足で探した玄蕎麦ですから、上手に製粉できれば美味しい蕎麦になるはずというものです。さて、上手くいきますか。



これが抜きです。蕎麦殼なんて全く残っていませんし、割れも少ない、とても綺麗な抜きです。

これをミルサーに50グラム入れて、17秒粉砕します。実は予備的に15秒の粉砕を試していて、これだと歩留りが少し下がりすぎで、甘味や風味が少ないことがわかっていて、そこから2秒増やしたのが今回の挽き方です。



粉砕が終わって篩ったところです。篩には23グラムが残っています。つまり27グラム(抜きの54%)が篩を通ったわけです。

さて、篩に残った23グラムをミルサーに戻し、もう一度17秒粉砕します。



これで11グラムがさらに篩を通り、篩には12グラム残っています。今回はこれで製粉完了。



これが篩を通ったそば粉です。歩留り76%の60メッシュのそば粉ということになります。50グラムの抜きを5回製粉して190グラムのそば粉がとれました。



こちらは篩に残ったものです。黒っぽいのは甘皮付近の色ですが、所々に白い粒が見えています。これはそば粉の中心部のうち、ミルサーのブレードに叩かれなかったものでしょう。ロール製粉や石臼製粉ではあり得ないものですね。

さて、ではこの190グラムのそば粉を打ってみましょう。加水プロファイルは、

91グラム+11グラム+8グラム=110グラム
83%+10%+7%=100%

となりました。分散加水で少し加水過多のようで、あと3グラム持ってみましたが、入りませんでした。総加水率は58%。前ページにも書きましたが、細挽きそば粉としては驚異的な高加水率だと思います。

では加水時の姿をご覧いただきましょう。



これは分散加水終了後です。歩留りが低めのそば粉なので、83%加水しているのにあっさり分散してしまいました。加水と同時にものすごく香ばしい香りが漂いました。過去ここまで香りが高いのは、会津産のそば粉で経験があるくらいですかね。そういえばこのそば粉の香りは会津産に近い感じがします。



10グラムのくくり加水後です。ここでもまた香りが立ち上りました。そば粉のほうはしっとりとしてつぶが大きくなってきています。



くくり加水二回目後です。もうほとんどまとまっています。ここにあと1〜2滴 (計量外) 落として括ります。



くくり終わって数回練ったところです。かなり多加水で緩い生地ですが、私はこれをズル玉とは考えていません。あくまで多加水玉です。理由は蕎麦の細胞にちゃんと水が入っているからです。また延しや切りでも全く事故が起こりません (ズル玉は、切りで難儀するのが普通です)。



ドウです。粒状の甘皮は全く見えませんが、全体の色は青々としています。高山製粉でいえば白樺と八ヶ岳の中間程度の色ですね。

さて、次は延しです。最近私は最終延ばし方向と庖丁の関係を、最終麺棒と庖丁を直交する関係にしています (蕎麦打ち編と違う方向です)。つながりさえすれば、このほうが香りが強く出るようだからです。ただ、麺の太さが途中で変わらないように、延しには神経を使っています。



延ばし終わった生地です。前後が60センチ。幅が25センチくらいで、かなり麺長重視の延ばし方です。麺棒は上述のように、画像の上下に動いて延しを終了しています。



畳みはまず横に二回です。左から右に畳み、もう一度左から右に畳んでいます。これで生地が4層になっています。



これを手前から向こうに畳みます。手前に Rがあるわけです。生地が厚い割に幅が短いので、こま板が水平になるように、左のほうに木片を置いてからこま板をかけて切ります。



切り終わりました。肉眼ではやや青みがかっている程度ですが、画像では暗部がかなり青くなりました。それだけ青みが内在しているのでしょう。手前のR部分は折れていなくて、麺はほぼ完全につながっています。中のほうは折れたようにたたまれていますが、大事に扱って茹でるとつながったまま茹だります。つまりこの麺はほぼ60センチの長さの蕎麦になりました。



できました。これで今回挽いたそば粉の半分。そば粉換算で約100グラムです。



アップです。どうです。細挽きそば粉なのに透明感があるでしょう。ロールと石臼では石臼のほうが透明感がありますが、このそば粉はさらに細胞が生きている感じがします。

ちなみに今回の茹で時間は13秒です。最近私は多加水傾向を攻めているので茹で時間は短めになっていますが、それでも家庭用のガス台の火力 (というか湯の量) では、かなり細めんにしないとで13秒は普通は無理です。きりべら23だと短くても15〜17秒程度はかかりますね。今回の13秒は多加水の成果に間違いなく、本当にあっと言う間に茹だってしまう感じです。

食感ですが、まず香りがすごくいい。ふわーっと来ます。このそば粉の持ち味なんでしょう。とにかく香ばしい香りです。こういうそば粉は雑味も出やすいと思いますが、それもほとんどありません。たぶん捨ててしまった24%のほうにそれはあるのでしょう。

噛み応えもすばらしい。表面はツルツルして舌触りは最高。これは粗挽きには絶対にない美点ですね。それでいながら細挽きでは後退しがちな噛み応えやヌメリ感もしっかりある。

甘味はもう一息欲しいかな。この鹿児島産の抜きを使って、果たしてどこまで甘い蕎麦が作れるかはまだ不明ですが、抜きを噛んでみると甘味はかなりあるように思われますから、この甘味も捨ててしまった24%のほうにかなりありそうです。なので次回はミルサーの粉砕時間をあと1秒延ばし18秒にして、もうほんの少し外層を挽き込んでみようと思います。

というわけで、ミルサー挽きによるそば粉づくり。なかなか得難い食感で美味しかったです。味のコントロールの可能性もわくわくしますね。自家製粉っていいなと思いました。


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