蕎麦前の友 ・ 煮豚の作り方



更新 040807
初稿 040314

蕎麦前 (つまりお酒) のつまみには、鴨やてんぷらが定番ですが、私は煮豚が大好きで良く作ります。

ラーメン屋さんでチャーシュー (焼豚、または叉焼) と呼んでいるもので、ジューシーなものは実は煮豚であるというのは良く知られていますが、ラーメン屋さんの作り方は、最初にラーメン用のスープで煮て、そのあとラーメンダレに漬け込んで作られています。つまりスープやラーメンに豚肉の旨みを利用しているわけです。

これに習って、素人向けの煮豚レシピもスープを用意させるものがありますが、ラーメンと関係ない場合は、旨みを外に出すのはもったいない話。面倒でもあります。

そこでラーメンと無関係にスープを使わず、酒の肴専用に作る煮豚レシビをご紹介しましょう。おいしいですよ。


1. 煮豚の材料

・豚の肩ロース肉 (またはバラ肉) --- 約1キログラム
・綿糸、または麻糸 --- 適量
・煮ダレ (後述) --- 鍋の中で肉が沈む程度
・サラダ油 --- 揚げ鍋のなかで肉が2/3以上沈む程度

糸は肉を縛っておくのに使います。普通「たこ糸」と指示されますが、最近のは化繊でできているものが多く、肉を加熱するときに溶けるので使ってはいけません。ネット掛けの肉の場合は、オーブンを使うときはネットのままでいいですが、網焼き法の場合はネットをはして、たこ糸に巻き変えるか、ちょっと注意して作ります (後述)。

肩ロースは国産はもちろん美味しいですが、アメリカ産、カナダ産なども十分美味しいです。煮豚用としてネットがかかって売られているものはいいものが多いですね。糸巻して売っているものはクズ肉を集めて固めてあるものがあるので要注意です (おいしくありません)。

バラ肉の場合は、分厚い固まりの場合はそのまま使います。薄めに長く切ってあるものは巻き上げるか重ねて、糸で縛ります。人気ラーメン店ではバラ肉を巻いてハムのように太い固まりにしたものが良く使われます。



こんな感じですね。以下の画像はこれで進めますが、作り方は肩ロースでも全く同じです。


2. 煮ダレの作り方

煮豚を煮込むための煮ダレです。かなりの量を作りますが、繰り返し使うものなので無駄にはなりません。また数回使用後は肉汁が溶け込みますので、ラーメンのタレとしても使えます。

煮ダレの材料は下記です。

材料初期値補充用補充用
濃口醤油900cc300cc220cc
日本酒200cc70cc50cc
みりん200cc70cc50cc
300cc100cc80cc

最初は初期値の欄の量を作ってください。参考に補充用も書いておきました。

材料ですが、まず醤油はそこそこいいものを使いましょう。私が使っているものはダイエーブランドの有機醤油ですが、とても美味しい煮豚が作れます。1リットルで400円以上しますので、キッコーマンなどのブランド品なら500円前後の醤油でしょう。

日本酒は普段飲んでいるもので十分です。たとえば箱詰めの月桂冠など。お酒を飲まない方は料理酒でもいいでしょう。私はのんべえなのでわざわざ料理酒は買いませんが。

みりんは養命酒酒造の「家醸本みりん」がイチオシです。甘すぎないのがいいですね。アルコールの入っていない「みりん風調味料」は使ってはいけません。肉料理はみりんにはかなり結果を左右されます。手抜きしないでください。

水は水道水でいいですが、浄水器があるならそれを通した水を。ミネラルウォーターを使う場合は低硬度のもの (硬度60以下)を使ってください。エビアンなどは使ってはだめです。

以上の材料を上から順番に鍋に入れて混合し、なじみをよくするため弱火でゆっくり加熱して90度くらいまで温度をあげておきます。蒸発を避けるため、温度が上がったら鍋蓋を半がけにして、とろ火で温度をキープしてください。鍋はステンレス鍋かテフロン加工のアルミ鍋をお勧めします。


3. 豚肉の下加工

豚肉の表面を加熱して硬化させます。これはこのあとの煮込みのときに旨みが煮ダレに過剰に溶けだしてしまわないようにする処理です。

3.1. オーブンがある場合

300度のオーブンで5分。ひっくり返してもうあと2〜3分加熱します。とても簡単。オーブンは空だきで数分加熱して予熱してください。

加熱後表面に赤い色が残っていたら加熱不足です。温度を上げるか、加熱時間を延ばしてください。

3.2. オーブンがない場合、またはホンキで作る場合

こちらは面倒ですが、実はオーブンより美味しくできます。まずネット掛けあるいはたこ糸で巻いた肉を、180度のサラダ油で揚げます。



片面1分を二回ずつ。つまり合計4分揚げます。ここで重要なのは油の温度で、必ず180度まで温度が上がってから肉を入れてください。その後は160度〜180度に油温を保ちます。



これは私が使っている湯温計付きの菜箸ですが、温度を把握するため、最初はこういうものの使用をお勧めします。



次に魚焼き網で中火、または強火の遠火で焼きます。これはサラダ油や肉の表面の油を落とすためですが、落ちた油から煙が出るので燻蒸効果があり、オーブンとは全く違った美味しさになります。



バラ肉の場合は脂肪が多いので火がついて炎が上がるかもしれません。しかしこれはかまいませんし、焦げ目は後でおいしいくらいです。ただし、肉が黒焦げになるは避けること。またネット掛けはゴムが焼き切れますので、たこ糸に限ります (化繊のたこ糸は溶けてしまうので使用禁止)。

肉を焼く時間は片面約1分×3〜4回。肉のを起こしてみて表面からジュワジュワと油が盛んにしみ出る状態になったらひっくり返して両面焼きます。次第に肉の表面の焼き色が赤くなって、所々焦げた部分も付いてきます。この焼き色が鮮やかになってきたら次に進みます (よく分からなかったら4分焼いてください)。



これはロース肉の場合で、網焼きで焼き上がった状態です。ここまでの手順は全く同じです。


4. 煮込み

いよいよ煮込みです。



オーブン、または焼き網で加熱が終わった肉を、あらかじめ温度を上げておいた煮ダレに入れます。ここで隠し味でしょうがを一辺放り込むとキレのよい味になります。お好みでどうぞ。



そのままではタレの中で浮きますので、陶器の皿などを載せて、煮ダレの中に沈めます。皿は上を凹にします。下を凹にすると皿が鍋の中で暴れます。

そのまま鍋蓋をして超とろ火で一時間煮込みます。

ここで肉じゃがなどの煮込みと勘違いして泡立つように沸騰して煮込むのは間違いです。煮ダレの醤油が変質してまずくなりますし、肉もパサパサになります。あくまでとろ火。温度計があるのなら93〜96度に保ちます。



この画像は我が家の台所で一番火力の小さいミニバーナーをトロ火にした状態で、これで煮込み温度は96度前後になっています。なお、タレが少ないとどうしても過加熱になります。したがって少量の場合は湯煎をお勧めします。



蓋は完全に閉めないでください。閉めてしまうと温度が上がりすぎます。

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さて、一時間経ったらガス火を落とします。すぐ食べる場合でも最低30分ほど放置してからにしてください。一時間程度おけば食べやすい温度になりますし、煮ダレの中で温度が下がるときタレが染み込んで美味しくなります。


5. 切って食べる

では食べてみましょう。基本は輪切りです。まな板の上にキッチンペーパを二つ折りにして敷き、その上にたこ糸またはネットをはずした煮豚を置いて切ります (そのまま保存してしまう場合も、たこ糸やネットは温かいうちにはずしてください。冷えるとはずしにくくなります)。


キッチンペーパーを使うのは、表面の油を吸い取らせて切りやすくすることと、残りを保存する場合のためにまな板の上の雑菌をつけない意味もあります。




はい、出来上がり。煮ダレを少しかけて食卓へ出してください。好みで黒こしょうやマスタードを使うのもいいでしょう。



アップです。どー、これ。おいしそうでしょう。思わず酒が進みます。


6. 保存

煮込んであるのでかなり保存が効きます。温かいうちにネットやたこ糸をはずし、新しいボリ袋に入れて冷蔵してください。一週間程度は大丈夫です。ただし一度切った残りは雑菌が付きますので早めに食べましょう。

保存するときポリ袋に煮ダレを一緒に入れてから空気を追い出して、肉全体が煮ダレに浸っているようにしておくと、味がしみてさらにおいしくなります (保存性もよい)。。

冷蔵すると温度が下がり肉が固くなってしまいます。それでも薄く切って食べると十分に美味しいです。しかしやはり美味しいのは厚切り。5ミリの前後に厚く切ってから電子レンジで温めてください。ただし温めすぎると肉汁が出てしまうのでご注意を。

ラーメンの具に使うときは、冷たいまま3〜4ミリ厚に切って使えばラーメンつゆで温まっておいしくなります。チャーハンの具に使うときは、冷たいまま細切れにして使います。


7. 煮ダレの保存について

煮ダレは繰り返し使います。鍋が冷えると脂肪分が白く固まりますので、これを除いてからPETボトルに入れて保存してください。冬場は冷蔵しなくても持ちますが、夏場は冷蔵してください。

使うにつれて煮ダレは減ってきます。そこでときどき煮ダレを新しく作り補充してください。このときみりんと酒の按配を変えると甘さが調整できます。


8. 蒸発分の補充について

煮ダレは一度使うと水が蒸発して煮詰まります。つまり濃くなります。そこで、一回使ったら、次回使うときに煮ダレの10〜15%程度の水を足してください (保存性の観点から、使用直後ではなく、次回に使うときに薄めます)。

9. 煮ダレの流用

まず白く固まった脂肪分は新鮮なラードですから調味料に使えます。チャーハンやラーメンスープに使うと美味しいですよ。

次に2〜3回以上使った煮ダレは、肉のエキスが溶け込んで、醤油ラーメンのタレや煮物ベースに使えます。大さじ3〜4杯でラーメン一杯分。スープで割って使ってください。

そのほか肉じゃが、肉大根などの煮物の味ベースにも最高です。煮ダレをダシで割って大根を煮込むとかなり美味しいです。



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