つゆの検討





更新 030323
初稿 021116


1.緒言

常用の醤油を変更するにあたり、かえしの作り方からだしにいたるまで再検討してきましたが、有力候補の「そば膳」を中心に、より高級な「本膳」を加えて最終の条件出しをしましたので報告します。

2.サンプルの作成方法

サンプルはかえしやだしの条件を振ったものですが、調べたい要素以外は全く同じ条件になるようにしています。

たとえば、かえしを比較したいときは、だしは一度に作ったものを小分けして対象のかえしとまぜています。逆にだしを調べるときはかえしは同じものです。

かえしの材料(みりんや砂糖)を変化させるときは、同じ量のかえしを続けて作り、保存も同じ条件にしています。まあ、しょうゆのビンの中での部位も意識しており、かえしを作る前にしょうゆビンは天地返しをしています。

特につゆは温度プロファイルにより化学変化の状況が変わるので、時間と温度のプロファイルが同じになるように気をつけています。たとえば、普段はだしをとってからつゆを作るまでに、だしを冷ますことはしませんね。しかし、つゆの加熱スタートの温度条件をそろえるため、今回の実験にかぎり、だしを常温(室温)まで冷ましてから使っています。

つゆの試料は基本として下記の条件で作っています。

・常温のだしを150グラム計量する
・常温のかえし60グラム計量する
・手鍋 (アルミ雪平鍋) にだしとかえしをいれて攪拌する
・弱火にかける (火力は使用バーナーとノッチ位置で固定)
・温度が83度になるまで攪拌しながら加熱し、83度になったらガス火から外す (温度を振る場合は別)
・3分30秒間 ガス台の上に放置して徐冷する (放熱中の化学変化を、急冷により止めないため)。
・雪平鍋の鍋底を水につけて、攪拌しながら温度を40度まで下げる
・500ccのPETボトルにつゆを入れる
・PETボトルを水につけて、水温まで温度を下げる
・2時間後にテイスティングする



この画像は水につけて温度をそろえている様子です (11月3日サンプル)。2時間後にテイスティングとなります。この検討中は、つゆの湯煎は省略しています。

3.テイスティングの方法

まず、つゆ単品を少量口に含み風味を見ます。つゆだけの味は強すぎるので、引き続き違うつゆを口に含むと評価が難しくなるので、この評価はつゆ毎に水で口をゆすいでいます。

次に蕎麦を茹でて、つゆにつけて食べてみます。蕎麦は八ヶ岳、または蓼科を使いました。このテストは、水での味のクリアはしていません。そばをのみこむまでにつゆの辛味は消えており、引き続き違うつゆで蕎麦を食べたほうが味の違いがよく分かるからです。

最後にそば湯での評価をしています。



上の画像はそば湯評価中の様子です (11月16日サンプル)。蕎麦評価まででおいしくなかったつゆはそば湯評価をしないので、ここでは三つしかそば湯が入っていません。


4.結果

最近の3回分のテイスティング結果を示します。

11月3日サンプル
サンプル
番号
しょうゆだしかえし
1そば膳本枯節みりんから加熱
2そば膳本枯節醤油から加熱
3そば膳荒節みりんから加熱
4はさめず本枯節みりんから加熱
共通条件)
つゆの加熱温度は83度
かえしの寝かしはPETボトルで一週間

結果

1と2の比較)
2のほうが、みりんの甘味が豊かでうま味も強く感ずる。1は少し辛い。よって2がおいしい
[結論]かえしはまず醤油を加熱、その後砂糖、みりんと加えるのがよい

1と3の比較)
1のほうがおいしい。3は魚臭い
[結論]荒節より本枯れ節のほうがおいしい

1と4の比較)
1のほうが違和感がない。慣れている味。4はかなり香りが独特。うまみが強くコクもあるが、蕎麦の風味を邪魔する。
[結論]はさめずは味が濃くおいしいが、風味が独特でそばつゆとして違和感を感ずる

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11月10日サンプル
サンプル
番号
かえしの保存方法
5仕込んでから5日間、1リットルのPETボトルに保存
6仕込んで二日目につぼに移して保存

共通条件)
醤油はそば膳、だしは本枯れ節、かえしは醤油から加熱

結果

5と6の比較)
6のほうが、醤油の辛味が後退して丸くなっている。醤油臭さも少ない。
[結論]つぼで保存したほうがおいしい (このテイスティングは娘の千晶も参加し、同意見でした)。

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11月16日サンプル
サンプル番号醤油加熱温度砂糖みりんかえしの保存
7そば膳83度ザラメ三年熟成4リットルPET
8そば膳83度グラニュー糖三年熟成4リットルPET
9そば膳80度ザラメ三年醸造4リットルPET
10そば膳83度ザラメ昔仕込み4リットルPET
11本膳83度ザラメ昔仕込み4リットルPET
12そば膳83度ザラメ三年醸造つぼ

共通条件)
だしは本枯れ節、かえしは醤油から加熱

結果

7と8の比較)
8のほうが味が単調な方向。丸みが足らない。7のほうが味が濃く、同時に醤油の風味と甘味の融合性がよい。
[結論] グラニュー糖よりザラメ のほうが深みが出る。
(ここでザラメとは、カップ印のカラメルの入った普通のザラメで、商品名は「中ザラ糖」です)

7と9の比較)
9は醤油の辛味が残っている。7のほうがおいしい。
[結論]つゆを作るときの加熱打ち切り温度は、80度では低すぎる。

7と10の比較)
10のほうが少し甘く、丸く、うまみがある。7のほうが辛く感ずる。
[結論] みりんは昔仕込みのほうがおいしい。

10と11の比較)
11のほうがうま味が強い。ただし、やや上品すぎるかも。10のほうが、やや強い味わい。
[結論]ここは少し迷っている。一般的にはそば膳より本膳のほうがおいしいと思うが、そば粉次第でそば膳かもしれない。

7と12の比較)
7のほうがおいしい。12のほうが少し辛い。
[結論]つぼ保存より、4リットルPETに保存するほうが寝かしが効く。

5.結果のまとめ

今回わかった内容をまとめると、下記となります。

・醤油はうまみ重視なら本膳、力強さでそば膳 (迷ったら本膳)。
・かえしははじめに醤油を加熱し、砂糖とみりんを順次入れるのがよい。
・砂糖はザラメ(カップ印の中ザラ糖)がおいしい
・みりんは昔仕込みがおいしい
・出来たかえしは4リットルPETボトルで寝かすのがおいしい
・だしは、荒節より本枯れ節のほうがおいしい
・つゆは83度まで温度をあげる必要がある (80度では低すぎる)
[付記]つゆの加熱温度は「攪拌しながら加熱し、鍋底付近で測って85度で打ち切る」のが最終的においしいことが後日わかりました(そば日記の030323参照)。

6.結言

以上の結論と、ここ数カ月の検討結果により、そば膳/本膳を使ったつゆは、どう作ればおいしいかだいたい結論が出ました。そこでこの結果を踏まえてつゆ編の記述を変更しました。

ここで書いた三回の検討以前の別の検討で出した結論を付記しておくと、次の二点が挙げられます。

1)
少なくともそば膳との組み合わせにおいては、本枯れ節に昆布と椎茸を合わせたところ、本枯れ節のやわらかい風味の一部が感じられなくなってしまった。現在は本枯れ節単品でとっただしがベスト。

2)
加熱温度を83度、85度、87度で比較すると、83度〜85度がおいしかった。83度と85度の優劣は難しい (僅差で83度か??)。

加熱温度は、16日の検討で「80度では低すぎる」ことがわかったので、83〜85度が適温であることがわかった。

次に今後検討が必要な項目としては、

・だしの火加減の目安を、湯の減りかたではなく、温度による管理に置き換えたい。
・本枯れ節に昆布だけ (椎茸抜き) を合わせた場合、本枯れ節単品とどちらがおいしいか試す必要がある。
・以前使っていて、最近使っていない「沖縄黒ザラメ」を本膳と合わせてみる。
・一度も使ったことがない「上白糖」を試してみる。
・本枯れ節において、アクを取り除かないとどうなるか試す (除かなくてよければ非常に楽になる)。
・だしの濃さ (湯に対する節の量) の最適値を極める (現在は比較的一般的な「仕上がり量=節の14倍」を採用している)。
・加熱上限温度、83度と85度の決着をつける。

以上です。


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