ハモ切りに挑戦





更新 020616
初稿 020120


ダイエーで鍋の具を買っていて、「はものすり身」というのを見かけました。いかにも美味しそうなすり身。



見ているうちに、これで変わりそばを打ってみようという思いがフツフツと沸いてきました。早速買い求めて、打ってみました。以下、実験記録です。

1.ハモのすり身とは



これがパックの裏に貼ってあった紙です。ハモとタラのすり身に、澱粉、砂糖、食塩、みりん、調味エキスが入っています。下味付きの鍋素材ですね。内容量は140グラム。

2.そば粉の量を決める

さて、このすり身をどうやってそばにするかです。まず御膳粉の量ですが、全く指針がありませんが、白身魚ですからあっさりしていることは間違いありません。そこですり身の含有率を高めでいくことにして、御膳粉とすり身を六対四でやってみることにします。つまり御膳粉は210グラムとします。

3.加水率を決める

加水率も全くわからないので、とりあえず粉に対して50%の熱湯加水をすることにしました。私は生一本では60%弱で打っているので、御膳粉の加水率としてはかなり少ない加水率です。結果としてこれは加水過多でしたが、対策は後述します。

4.熱湯加水

かないまる流の御膳粉の加水は粉を二分割しておき熱湯加水します(詳しくは、御膳粉の生粉打ち編を参照してください)。

今回もそば粉を150グラムこね鉢に入れて広げておきます。60グラムは別にしておきます。熱湯を105グラム計量し、粉の上にまき、ただちに60グラムを振りかけてそば粉で熱湯をくるみます。続いて菜箸で攪拌し、ある程度ほぐれたら両手で揉み崩します。



崩れました。加水率50%で、特に練りをしていな御膳粉はこのようにバサバサです。

5.すり身投入

ここですり身を投入します。



投入したら、そば粉でくるみ、手にくっつかないように崩しながらそば粉とすり身を分散させてゆきます。程なくそば粉がなくなり全体が一個の玉になりました。

しかしこの段階では、玉は非常にゆるくてねばねばしていました。加水が多すぎたわけです。

6.御膳粉の追加

そこで御膳粉を追加しました。御膳粉を少しこね鉢に投入し、その上で玉をこねることで、徐々に玉を硬くしてゆきます。こねて粘りがでたところを乾いたそば粉に押さえつけてさらに練る感じ。

湯練りは糊ですし、すり身もつなぎみたいなものですから、そば粉を少しずつ投入すれば粘りはちゃんと維持されます。要は丹念に練ることです。

結局今回は、そば粉を60グラム足したところで手につくような強い粘りがおさまりました。まだややゆるめですが、切りで包丁にくっついて破綻することはない程度になっています。御膳粉の生粉打ちで加水率62%程度のズル玉です。今回はこれで麺にしてみることにしました。

7.のばし

ここまでで玉の重さが515グラムになっていますので、普通のそばではそば粉を320グラム程度使った大きさです。そこで生地を60センチ×40センチ程度にのばしました。

またこね上がった玉を指で押してみるとあまり弾力がないので、角だしはしないで、秘儀・四角玉のばしでやりました。300グラム相当を角だししないでのばしたことはありませんでしたが、このワザは意外に大きい生地にも使えますね。

また麺棒にまいてのばす「巻き伸し」をしましたが、麺棒にまかれた生地の端が次の生地を押しつけるキズがかなり強く残りました。普通のそば生地だと弾力があるので麺棒でのばすと、この痕跡は消えるんですが、はも切りではこの傷が最後まで消えませんでした。次回からは巻き伸しもやらないほうがよさそうです。

8.切り

のばしてみると生地がまだゆるく、切った麺が互いにくっつきそうなので、切りはうち粉をたっぷり使いました。まず生地の下のまな板面にうち粉をたっぷり入れます。つなぎの入ったゆるい生地は、まな板際が切れずにつながってしまうことがあるからです。

生地の上にもたっぷりうち粉をのせました。これは切れた麺にすぐにうち粉がかかり、麺同士がくっつくのを防止するためです。

今回の玉は三人前ですので、一人分を切ったら麺を手にとって、軽く振って余分なうち粉を落としてからタッパに移します。



できました。奥のタッパの手前にあるのはくず麺です。普段の生粉打ちではほとんど出ないんですが、ハモ切りは初めてなので難しかったです。

10.茹でて食べてみました。

まず茹で時間がわからないので、一人前だけ茹でてみました。30秒。茹で時間としてはバッチリでした。息子がいたのでいっしょに食べましたが、二人で「これはうまい」と興奮してしまいました。

ただ冷水での締めが効きすぎるのか、ハモの香り、うま味が期待したほどではありませんでした。

そこで二回目は冷水で締めたあと、ぬるい水に一瞬浸して、表面温度を上げてみました。芯はしめておいて、表面を少し緩めるわけです。このやり方は、老舗のそば屋さんが食べる人への気遣いとしてやっていると本に書いてあった手法です。私は固めに締まり切ったそばが好きなので普段はやっていませんが、今回はこのワザを投入。

結果はバッチリ。口に含むと上質の蒲鉾やはんぺんに通ずる白身魚の香りが立ってきて、噛むとうま味が広がります。三食分あったのですが、息子と二人であっと言う間に食べてしまいました。

11.分析

では分析です。すり身を仮想水分量と仮想固形分に分離して、次回の加水率の目安を得ます。

まずそば粉が270グラム。加水が105グラム。もとのすり身が140グラムなので、全部で515グラムの玉になっています。この玉は比較的ゆるい玉で、御膳粉を生粉打ちした場合の62%加水程度の玉になっていました(これは測定したわけではなくて、私の手の感覚です)。これを前提に以下の解析を進めます。

まず515グラムをそば粉相当の固形分と、水分に分けて考えると、

固形分=515÷162(%)×62(%)=318グラム
水分量=515-318=197グラム

となります。そば粉は270グラム、熱湯加水は105グラムですから、

すり身の固形分=48グラム
すり身の水分=92グラム

と考えられます。つまりすり身はその1/3が固形分、2/3が水分と覚えておけば、今後の加水率の目安になると思います。

12.次回のテーマ

今回はそば粉対すり身を6対4でまぜましたが、加水が多かったため御膳粉をあとから投入。そのため、そば粉は270グラム。そば粉対すり身は2対1程度になりました。

そこで次回、これを初期の目標の6対4で打てないか吟味してみます。

まずすり身4に対してそば粉6となる御膳粉の量は210グラムですから、

固形分=210+48=258グラム

です。これを60%水分率に仕上げるには、

総水分量=258×0.6=155グラム。

すり身の水分量は92グラムですから、

熱湯加水量=155-92=63グラム

となります。

整理すると、

・御膳粉210グラムに熱湯63グラムを投じて湯練り(分散加水)する。
・すり身140グラムを投入して練る。

となります。ははは。つながるかな。次回挑戦と行きましょう。

13.補足

はも切りの味について補足しておきます。いまこの原稿を書きながら、長い時間続く後味のよさに驚いています。

今回使ったすり身は鍋用の素材で、うま味エキスが入れてあると明記してありますので、このうま味は作られた部分もあるでしょう。しかしうまいことは事実。そば湯もうまい。おまけに後味もすごい。

なのでフードプロセッサを使って、ホンモノのタラのすり身かなんか作ってそばを打ってみたくなりました。これもいずれ挑戦してみましょう。



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