水練り生一本
(御膳粉の生粉打ちを水で打つ)

できました



初稿 030420




じゃん。できました。最も難しいとされる水練り生一本です。



クローズアップです。透明感あるでしょう。実物はマジで透き通るような感じがします。



いちおうつながっているという証拠写真です。32センチあります。

2. 食感

食感ですが、す、ば、ら、し、い。おそらく至上もっとも硬い蕎麦だと思います。私は拳骨せんべいでもラーメンでも硬いものはなんでも好きなので、プリプリしていてスッごくおいしい(^^;)

しかしこの麺、そーとーに硬いです。また蕎麦自体にはほとんど味はありません。湯練りの生一本よりは味が濃いと思いますが、それもよく噛んでいると甘くなるというもの。基本的にはそばつゆを相当上品に作らないと、その良さがわからないでしょう。

酒の肴にもなります。ほとんど延びないので、数本つまんではつゆにつけて、それを肴に酒をのむと長時間楽しめます。最高のダシとじっくり寝かしたかえしで念入りに仕込んだつゆの出番ですね。

3. 補足と考察

冒頭にも若干書きましたが、まず御膳粉がなぜ水でつながるかを考えてみます。

蕎麦の水練りの生粉打ちは、水溶性のタンパク質がヌルっと溶けてそば粉をつなぐ、というのがつながる本質です。このページ以外の解説はほとんどそうなっています。

しかし、実は粘土が水の粘性でくっついているように、そば粉と水の混合物でもそれは起こります。タンパク質が少ない白樺の水練り生粉打ちは、この要素だけがたよりです。

なのでつながりはするものの、強度は極めて小さいです。200グラムを超えると素手で打つのが無理な理由も、生地下の打粉をときどき補給するために生地を動かすとき、生地が大きいと壊さないで移動することが不可能だからです。

もちろんなにか工夫すればできそうですが、現在は素手でやっていますのでこれが限界。まあ200グラム以上は打たないので、特に困ってはいませんが。

また、加水率の許容範囲は極めて狭くて、比較的難しい白樺の比ではなく、1%程度しか幅がないようです。結果、加水率は60〜61%が適正だとすると、62%ではできた生地を素手でめくることができないほどゆるくなります。逆に60%以下では生地に延ばせません。

ただまあ、素手で生地がめくることができないほどゆるくして、打粉の上でひたすらのばして、たたまずに切って、下敷きかなんかですくって鍋に直行なんていうのもいいのかもしれませんね。硬さを軽減するのが今後のテーマですので、やってみたいと思っています。

あと難しいのは、麺棒の扱いです。コロコロ加圧をじっくりやるのがコツですが、加圧できる限界線があって、それを超えた瞬間に麺棒に生地がピっとくっつきます。これはもう普通のそば粉の比ではなくて、その時点で生地が直線的に切れて、そこから見事に麺棒に巻きつきます。延し板の上には直線的にカットされた生地が残るほどドラスチックにそれは起こります。

これは水とそば粉が表面張力でうまくカオス状態になっているのが、加圧で崩れて水が遊離するんでしょう。この状態にならない時の麺棒は乾いていますが、この事故が起こって麺棒についた生地をはがすと、麺棒がじっとり濡れているのがわかります。麺棒から剥がした生地は水分を失ってボロボロになります。

かといって打粉をふりすぎると生地がどんどん乾いてしまい、これも生地の破壊につながります。つまり表面がしっとりしていて打粉が薄く乗った状態を維持しながら、ある一定の加圧力でのばして行く必要があるというわけで、このへんがかなり難しいと書いた所以です。

次に蕎麦として硬い件ですが、麺を細切りにすることをしてみました。結果、噛み切るのは楽になりますが、味わいとしては私には好ましくはありませんでした。水っぽくなるんです。

では凄く太くするとどうか。これはまあ硬すぎるかな。特に蕎麦のうま味が出るというわけでもないので、あまり太くしても意味ないです。結局きりべら20程度がよいと思います。

4. 今後の課題

なんか最後は学生実験のレポートみたいな雰囲気になってきましたが、次のステップは超多加水の姿切りと、水ごねの変わり蕎麦でしょうか。

特に超多加水はポイントでしょう。湯練りの生一本は糊つなぎなので、水を多めに入れることで比較的柔らかくできます。これは糊化した澱粉が水を抱えることができるからですが、この含水量の多い状態を水練りで実現したいわけです。

あとは変わり蕎麦ですね。水練りで茶蕎麦や柚子きりを打つ気は全然ないですが、鱈切りかハモ切りを作ってみようとは思っています。



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