生一本
(御膳粉の生粉打ち)




更新 030401
初稿 011224 画像追加 020804

ではまず、生一本を、全湯練りで打ちましょう。なにも変わり種を入れないで御膳粉だけで作る生粉打ちそばです。これができれば、かなりの種類の変わりそばが打てるようになると思います。

1.材料

・御膳粉

まず御膳粉を人数分用意します。一人前100グラム×人数でいいでしょう。

そば粉は高山製粉御膳粉を指定しておきます。もちろん他の製粉メーカのものでも打ちかたは同じですが、加水率はご自分で割り出してください。

・熱湯

そば粉の重さの60%の熱湯が必要です。これより少なくても繋がりますし、そば粉のメーカが違えばまた様子も違うでしょうが、最初はとりあえず60%で練習してみてください。


2.打ちかた

2.1.準備



そば粉(御膳粉)を計量し、その70%をこね鉢に入れ、30%を別にしておきます。

こね鉢の御膳粉は概ね平らにしておき、中央が軽いくぼみになるようにしておけばいいでしょう。くぼみの底にもそば粉を残し、こね鉢が露出しないようにします。

2.2.熱湯の計量

計量は加水寸前にやります。それまではヤカンにグラグラとたっぷり沸かしておいてください。



電子ばかりの上に小さめの耐熱のポリ容器か耐熱ガラス容器を置きます。次にヤカンから熱湯を計量カップ八分目まで入れます。

ただし、最初は容器の温度を上げるためで、約30秒待ってから捨てます。これをもう一度行います。つまり二回熱湯を捨てます。



三回目が本番。もう一度、グラグラに沸騰した熱湯を、今度は電子ばかりの数字をみて、熱湯の必要グラム数を計量しながら容器に入れます

カップに熱湯をいれすぎた場合は、それを捨てて、もう一度ゼロから計量し直します。ちょこちょこやっていると温度が下がるからで、加水温度を高くするためのコツです。

2.3.熱湯加水



計量できたら、熱湯が冷めないように手早くこね鉢の上に運び、御膳粉の上に一気に廻し入れます。できる限り広い面積にまき広げてください。



熱湯が入ったら、ただちに別にしてあった残りの御膳粉を、熱湯の上に振りかけます。熱湯に蓋をするわけです。



蓋をしたら、こね鉢を抱えて左右に振ります。ここが勝負。なるべく力強くふることで、熱湯とそば粉をカオスにします。

熱湯が動かなくなったら、菜箸でそばの山を崩し攪拌します。ここでも温度が下がらないうちになるべく多くのそば粉に熱湯を触れさせること。これが成功の秘訣です。


2.4.熱湯分散処理



菜箸で攪拌するとそば粉の温度がすぐに下がりますので、両手を使って回りの乾いた粉を左右から中央に寄せてゆき、こね鉢の中央に前後に長い山を作り、続いてこの山を手ですくい、揉み合わせて崩してゆきます。



最初はやや熱いですが、我慢して攪拌。



粉の乾いた部分と湿った部分をまんべんなくこすり合わせて、全体を湿りけのあるおから状にします。

2.5.加水の見切りとくくり

湯練りが水練りと違う点は、加水率の適否が見極めにくいということです。

というのは、湯練りは菊ねりで生地がかなり緩むからです。水練りのように加水をしながらゴロゴロと転がして自然にまとめると、練り始めは同じ感じですが、練るにつれて玉がゆるみドロドロになってしまいます。



そこで、ひとしきり水分が分散してきたら、粉をひとつかみギューっと握ってみます。餃子のように固まったら、横から力を入れて曲げてみて、ボロボロっと三つ以上に崩れたら加水不足。1%ずつ追加加水を実施します。この加水は水で結構です。



餃子に力をいれるとヌっと変形して、さらに力を入れてからパクッと二つに割れるようなら適正で、追加加水を終了します。

なお基本的には60%の加水率ならあまり深く考えなくてもまとまるハズです(少し緩いはず)。しかし、この餃子作業は湯練りの加水率を把握するよい方法ですので、練習として毎回やっておいてください。

加水が適切なら、そのままこすりあわせているとそば粉に粘りがでてきて、こすりあわせる手の中で紐状に固まって来るはずです。

そうなったら手のひらを下にして、力をいれて粉をこね鉢にこすりつけながら伸してあげます。この作業で一気に粘りが出てまとまり始めるはずですから、まだバラつく粉をギュギュっと無理やりまとめ、一個の玉にして、本練りに入ります。

2.6.本練り

加水の終わったそば粉は最初は若干パサパサしていますが、練っているうちに次第にしっとりしてきます。加水分散過程で乾いたそば粉のなかに隠れている糊が、練りにより均一化してくるからです。

またタンパク質でつなぐ水練りの生粉打ちと違い、力をいれてギューッと変形させてダイナミックに練ります。すると生地が緩んでどんどん粘りが出てきます。



この画像はちょうど半分ほど練ったところで、まだぼそぼそしていますが、かなり粘りがでてきています。

さらに練り続けると次第次第に柔らかくなり、もう柔らかくならないというところが打ち切り点です。

ここで、固さが適切だからといって、練りを途中でやめてはいけません。それだと茹でると切れるそばになってしますいます。水練りの生粉打ちのように、練り過ぎて切れやすくなるという事故はあまりありませんので、乾燥しないようにだけ気をつければ、いくら練っても構いません。

なお緩み過ぎたかなということもあるでしょうが、生一本は生地がかなり緩くてもその持ち味である歯ごたえ感は味わえますので一応大丈夫です。



最終的には200回近く練ることになると思います。最後にへそだししてつぶして玉にします。

2.7.のし

湯練りした玉は、温かいうちは澱粉がアルファ化していますので、温かい飯粒をのばすようなもので非常によく延びます。しかしタンパク質がまったくないので弾力はほとんどありません。押し延ばせばかなり延びますが、引っ張るとあっさり切れます。このことはよく覚えておいてください。

次に、相手が「糊」ですから、うち粉はたっぷり打ってください。生地が結構うち粉を抱えますので、うち粉が少ないとあっと言う間にのし板にくっつきます。

巻きのしも有効ですが、これもうち粉をふんだんに打たないとくっつきます。麺棒にまいてのばしているときにくっついたらアウトですから気をつけてください。

角出しはやめたほうがいいでしょう。角だしは剪断力が働くので厳しいです。ぜひ秘儀・四角玉のばしでやってください。500グラムくらいまではまったく問題なく延ばせると思います。

2.8.たたみ

たたみは、これまた切れやすいので慎重にしてください。麺棒にのせて畳むときに生地を落とすと、再起不能です。

2.9.切り

切りは普通でいいのですが、自信がなかったらやや太めにします。

2.10.茹でる

変わりそばの生粉打ちは、なるべく打ちたてをすぐに茹でてください。半日以上おくとベータ澱粉になりますので切れやすくなります。

茹で時間は約10秒です。極端に短くなる理由は、すでにそば粉の大半がアルファ化しているからです。茹でる前に煮えているわけですね。ですから、標準の太さで8秒。太麺でも10秒です。鍋にたっぷり湯を沸かし、サラッと投入してさっと上げます。

持ち味である硬さを出すために冷水で締めてザルに盛っていただきます。

1.11.食べる

つゆは普通のものでおいしくいただけます。生一本は自分の香りをほとんど持たず、歯触り、のど越しが特有で不思議な食感です。口に含んでよく噛むと、やっと甘さを感じる以外はほとんどつゆの香りしかしません。したがってつゆを上手に作ればそれがストレートに楽しめます。

(このページの画像は娘の千晶が020804に撮影してくれました)



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