保存袋の酸素透過について



更新 040614
初稿 040611


1.ポリエチレン袋は酸素が透過する

前項で使い捨てカイロが脱酸素材として使えることを書きました。カイロがカチカチになったらおしまい。

ところがカイロの硬くなるまでの時間が、保存に使っている袋によってちがいます。たとえばジプロックなどのようなボリエチレン製の袋はすぐに硬くなりますが、カツオ節削り節の空き袋などを使うと、比較的長期間OKです。

この差はポリエチレンの酸素透過度が高いことから起こります。つまりポリエチレン袋は、あまり長期のそば粉の保存には向かないということになります (カイロを入れて使うのなら、短期間ならあまり気にしないでください)。


2.削り節の袋はなぜカイロが持つのか

食品包装の袋は、昨年(2003年)からプラマークの表示をしないと罰則を課されることになったうえ、材質表示の併記が推奨されているため、我々にも材料がわかるようになりました。



これがプラマークです。試しに手元にカツオ節パックがあったら見てみてください。おそらく、

PE,PA
PE,PP
PP,PET
PE,PET

などと書かれていると思います。PEはポリエチレン、PAはポリアミド (ナイロン) 、PPはポリプロピレン、PETはボリエチレンテレフタレートです。左側の物質にはアンダーラインが引かれていますが、これは主たる材料であることを意味します。つまり削り節の袋はポリエチレンにナイロンやポリプロピレンを複合させた素材ということになります。

そして、PPがポリエチレンより酸素透過度が一桁程度低く、PETやナイロンは、さらに二桁低い性能をもっています。したがってPPは厚めに使われるようで、PP,PEという構成もよく見かけます。

いずれにしてもこうした複合材料は酸素透過性が少ない特長があるため、酸化を嫌う食品包装によく使われ、したがってカイロが持つわけです。


3. さらに気密性の高い袋

最も気密性の高い袋はレトルト食品でおなじみのアルミラミネート袋ですね。プラマークは

PE,M

です。Mはメタル=金属ですね。事実上気体は全く透過しません。簡単に作れる本格つゆの作り方でご紹介したヤマキ入魂のカツオ節はこの袋に入っています。

これを蕎麦粉の商品包装用として使っている製粉会社もあります。高山製粉も長期保存される可能性のある丸抜きはこれを使っています。


もう一つ、最近見かける高機能な袋をご紹介します。



EVOHというのは、エチレン―ビニルアルコール共重合樹脂といって、クラレがエバールと読んで商品化した樹脂です。資料によればナイロンよりさらに二桁気密がよく、保香性にすぐれるということで、PPにコーティングして使われているのでしょう。


4. 削り節の空き袋でそば粉の保存性を上げる

さて、こうした素材は酸素透過度が低く、そば粉の保存に最適ですが、残念ながら袋単品はあまり市販されていません (もちろん専門業者 (たとえばここ) からは買えますが…)。

でも、そこまでしなくても最近の削り節の袋は大概チャックが付いているので、私は大袋を使ったとき (というか常時使っていますので) この空き袋を水洗いしてとっておいて使っています。

ただしそば粉を直接はいれません。そば粉を使った後、袋をギュっと引き締めて空気を追い出すのはそば粉保存のイロハですが、この作業で袋が痛むからです。なのでそば粉自体はボリエチレンの袋に入れ (もちろんカイロも入れて)、これを丸ごと削り節の空き袋に入れています。もちろん削り節の空き袋の内側にもカイロを入れて、二重に酸素を吸着させています。



ちっと分かりにくい画像ですが、これはカツオ節袋が我が家のメインの冷蔵庫の野菜室に放り込んである様子です。中には使いかけのそば粉が数個入っています。使いかけのそば粉はすぐに鮮度が落ちてしまうのが常でしたが、この保存方法にしてからとてもよく持つようになりました。


5. 秘密兵器「サランラップ」

さて、削り節の空き袋をとっておいても、ときとして足らなくなることがあります。そんな場合はどうするか。

私はポリエチレンの袋にカイロとともに素材を入れたら、空気をギュギュっと抜いてカチカチにしてから、サランラップでグルグル巻きにしています。

実はサランラップの材料である「塩化ビニリデン」は、酸素透過性が非常に低い材質で、極薄のラップでありながら、60cc/平方メートル/日/気圧という、PE,PA袋並の高い酸素バリア性能を持っています (出典はここです)。

実際サランラップでグルグル巻きにすると、カイロが長期間もつようになります。コツはスキマができないように巻き重ねることと、縦に数回、横に数回、もう一度縦に吸い回と、ある程度回数多くグルグル巻きにすることです。




これは二階にある蕎麦専用の冷蔵庫で、現在約10キロ以上のそば粉が寝ています。もちろん全部が買ったものというわけではありません。私はそば粉の評価を依頼されることがあり、一時的にすごくそば粉が多くなることがあるのです。評価後捨てることはせず、美味しいのでゆっくり楽しみますのでこういうことになってしまうんです。

すべてラップでグルグル巻きになっていて、カイロと併用して、鮮度は相当長期保てます。サランラップ以外ではクレラップも同じ塩化ビニリデン製なので使えると思います。

なおラップに関しては、最近多く出回っている「ボリエチレンラップ」は使えません。比較的安価で丈夫ですが、気密性はありません。また切りにくく、密着性も悪いので、私はポリエチレンラップはほとんど使いません。カミさんが買ってきても、それとは別にサランラップがいつも買ってあります。




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