ヌードル・ドット・コム誌より
忙中麺あり(19)の記事を転載します


031003 公開


2003年8月3日取材の「忙中麺あり」のページを掲載した日清食品のPR誌「noodles.com」誌が9月末に到着しました。



これが掲載誌です。

記事転載の許可をいただきましたので、スキャンしてみましたのでご覧ください (テキストのみも末尾に収録しました)。






以下テキストです。

忙中麺あり19
ソニー株式会社 音響エンジニア  金井隆

金井流のこだわりで「音」と「そば」を極める

日頃はオーディオ機器と対峙し、音の世界を創りあげる
エンジニア。まったく違ったそば打ちの世界に同じテンションで
立ち向かう。しかも、どちらも少年のようにワクワク、ドキドキ。
休日は、そば仲間たちとワイワイ楽しい「金井ワールド」が広がる。

 「かないまる」という怪し気? なホ ームページを開くと、玄人も躊躇するよ うな変わりそばや、つゆなどの詳しい研 究成果がズラリ。各項目をクリックすると、写真とともに詳しい解説がびっしりと書き連ねられている。そばに関する並々ならぬ情熱と気魄を感ずる。今回、このページに登場いただいたのは、「かないまる」の主、金井隆さんである。

緻密なデータと独学の技で打ちあげる生粉打ちそば

 金井さんは、ソニーのオーディオ機器の音響設計家で、この業界では知る人ぞ知る「音質」の専門家である。ピュアオーディオ界では、「God of Audio」と呼ばれ、デジタルシネマサウンドの生みの親でもあるエンジニアだ。金井さんの手がけたAVアンプは、過去7年間連続でベストバイ第1位に輝くという。その技術は世界的にも高い評価を得ている。海外出張も多く、多忙を極める毎日だ。
 そんな金井さんの「かないまる」の更新記録を見ると、「生返し13種類に若干の本返しを加えて、全19種の返しのテイスティングを6月7日に決行。参加した友人の原稿チェックが終わりましたので公開します。」などとある。忙しい中でもそば打ちやつゆの研究が続く。
 金井さんがそば打ちに目覚めたのは、自宅の新築披露の折に友人(東京電力の通称kojiさん)が、祝いにそば打ちを披露してくれた。そのときの見事なそば打ちと味に感心。1年後にたまたま群馬県の奥様の実家の近くで、そば打ちを体験。これがすごく美味しくて、以来、独学で始めたという。
 1年後、パソコン通信仲間のハンドルネームりょーさん、ドド子さん夫妻、凹さん、ぶーさんたちが、金井さんの打つ蕎麦の味にうなった。ドド子さんとりょーさんは弟子でもある。そば打ちのホームページを立ちあげてからは、全国にその輪が広がっている。
 金井さんのそば打ちは、ほとんど自己流だというが、その緻密なデータはプロも真っ青になるほど。本当に自分が旨いと思うそばを自分で打つ! ことに最大の目標がある。「それは、理想の音を創りあげていく手法と同じです。わからないときは、要素を総当たりで振ってみます。加水量やだしをとるときのわずかな温度の差など、かたわらでメモをとりながら、データを積み重ねていきます」。
 この日は手なれた高山製粉所の「白樺」「縄文そば粉」と最近入手した江戸東京そばの会の「常陸秋そば」の3種。さらに変わりそば2種を見事に打ちあげた。細めのそばは上品な香りでのどごしもいい。それぞれの味を評しながら、あっという間に時間が経ってしまった。
 そばの香りに包まれながら、金井さん本業のホームシアターを楽しむ。全身を下からつきあげるようなどっしりとした重低音、左右や上からも響き渡る豊かな効果音、劇場で体験するような映画の持つ魅力を存分に味わった。そばもオーディオもこれぞ金井流の神技。「本業に煮詰まると、そばを打ってそばの世界にひたり、リフレッシュする。その繰り返しが案外僕に合っているんですよ」と金井さん。どちらを語るときも少年のように瞳が輝いていたのが印象的であった。


プロフィール
金井隆(かない たかし)
1953年千葉県生まれ
1976年日本大学生産工学部卒業。専門は回路理論。
1978年千葉大学大学院工学研究科修士課程修了。専門は制御工学。
同年4月ソニー(株)に入社。その後1986年発売のCDP-R1を皮切りに、CDP-R3、CDP-R10、CDP-X5000と、ソニーの代表的高級CDプレーヤを次々に設計したことで、マニア筋ではたいへん有名。
1996年からはAVアンプの音質向上に尽力。ベストバイ1位を7年連続で受賞し続けている高音質設計の専門家。


写真キャプション

そば粉、加水している場面、できあがったそば

そば粉ごとに調べてある加水量を正確に計量し、80%とそれ以外に分けておく。ただし加水率はそば粉に決めさせる。これが金井流の生粉打ちだ。数種のそばを次々と打ちあげる手さばきは見事。下は縄文そば。

水まわしの場面

金井さんが打つそばはつなぎなしの十割そば。そば粉の種類と性質によって加水量が異なる。計量した水をまわしかけ、水まわしを一気にするプロセスは気の抜けないところ。そんなときでも、そば粉の具合を手で確かめながら、「今日は照明が入っているせいか、なんかいつもと違いますねえ??」とか、仲間と話し合いながら、その場の空気がひとつになっていく。楽しいの一言に尽きる。

そばを囲んでいる場面

パソコン通信を通じて知り合った仲間たちと打ちあがったそばを賞味。味の品評会で盛りあがる。当日打った3種のそばと2種の変わりそば、それに24時間ねかせて熟成させた縄文そばと酒打ちのそばが茹であがると同時に、あっという間にスルスルと胃の中に。子供たちも外で食べるより旨いと「かないまる」そばの大ファン。



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