三たてはうまいか





更新 020907
初稿 011221


打ちたてとそばの香りの話のついでに、三たてはうまいかという話です。

三たてとは「挽きたて」「打ちたて」「茹でたて」のことで、「そばは三たてがうまい」とよくいわれるようです。まあ挽きたては全く疑問無し。茹でたては水がきれる前に食べるのは別として、これも疑問無し。しかし、「打ちたて」はやや疑問なしとしません。

というのは、打ちたてのそばは内部に気泡を多く抱えているため、その気泡周辺の熱の回りが悪く、アルファ化率が下がっているという説があるからです。

気泡を抱えているのは証拠があります。打ちたてのそばは茹でると湯のなかで浮いてきます。

しかも強く浮いてしまうと、蕎麦の片面だけ煮えるという現象も起こります。ですので切り立てを茹でるときは、菜箸で麺を動かして、湯の回転を助けてあげる必要もあります。

麺は切り立てから次第に浮く力が弱くなり、一時間以上寝かすと浮く力が明らかに弱まります。また数時間で完全に浮かないそばになります。で、浮く力が弱まるとともに味が濃くなり、舌触りや歯ごたえがやさしくなるのです。反面新鮮なそばの香りも少なくなりますが、なくなってしまうわけではないし、荒々しさがとれた分上品にもなります。

そばを打ってから少し寝かしたほうがおいしいことに気づいたのは、初めてパソコン通信仲間にそばを振る舞ったときです。まだ初心者で一度にたくさん打てないので、早起きして5人前ほど打っておいたのですが、それを出したとたんにみなが「こっちのほうがおいしいよ」と言い出しました。一番正直なのは子供たちで、残っている「打ちたて」には目もくれず、打ちおきの寝かしたそばばかりパクついていました。

このとき当然「三たて」の話がでて「不思議だねえ」としばらく話題になりましたが、今から思えば、これが寝かした効果ということです。

ただし寝かしておいしくなるそば粉とそうでもないそば粉はあるようです。

白樺は打ちたてでも非常においしく、寝かしてもまたおいしいですが、そのうまさは若干別のものです。打ちたては香り高く、モチ、プツっとした歯ごたえがよく(なんていう表現だ…)、寝かすと歯ごたえはやや後退しますが、熟成した舌触りと濃い甘さが加わります。

全層粉の田舎そばはおおむね寝かしたほうがおいしいと思います。舌触りがなめらかで香りの荒さもとれます。同時に固さがとれて味の深みも増します。件のパソコン通信仲間が食べたのはロール製粉の全層粉ですから、このパターンです。

ではどのくらいが平均的に美味しいかですが、ここのところずっとそれを意識していろいろと試しましたが、たいがいのそば粉では20〜30分程度はおくのが総合的には美味しいようです。


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