二八か生粉打ちか






更新 021230
初稿 011221


ここからはコラムです。そば談義でよく出てくる話題について順不同で書いて行きます。最初の話題は、二八か生粉打ちかという話。

生粉打ちとは、そば粉100%(10割)で打つことをいいます。そば屋ののれんの「生そば」とは、本来は生粉打ちのことを指すそうです。現在は生粉打ちのそば屋はまずありませんから、単なる名残ですね。

それはともかく、そばにはニ八礼賛と生粉打ち信仰があるようです。二八とは、そば粉8割に対してつなぎ粉(小麦粉)を2割をまぜて打つことをいいます。

二八礼賛者は「蕎麦はニ八に始まり二八に終わる。二八は舌触りと歯ごたえがちょうどよく、なにより大事なツルツル感に優れる。生粉打ちは蕎麦の香りが強すぎるし、蕎麦の肌も荒くておいしいものではない」とします。「生粉打ちがいいというのは、単なる純潔主義である」というような暴言もネット上で読んだことがあります。

まあ、ツルツル感や独特の歯ごたえを否定する気はありませんが、生粉打ちに対する代表的な批判である「生粉打ちは蕎麦の香りが強すぎる」、「歯抜かりがする」は、二八礼讃者の勉強不足が露呈したもので、褒められた態度ではありません。

なぜなら「色が濃すぎる、歯ぬかりがする、匂いが強すぎる」などの表現は、生粉打ち初心者用のそば粉である全層粉、もしくは外層分(3〜4番粉)に当てはまる表現であり、生粉打ちの全体を表現していないからです。

実をいうと、生粉打ち礼讃者の私自身も、このような蕎麦臭すぎるそばは好きではありません。こういうそば粉を買ってしまったときは、二八どころか七三にしてしまうこともよくあります。

しかし、その私がもっともおいしいと思うそば粉は、香りは上品ですし、歯ごたえなどの二八礼讃者がメリットに上げる食感も備えています。それはタンパク質を豊富に含む玄蕎麦を使い、内層を中心として挽き出したそば粉で、その代表選手が高山製粉の「白樺」です。

白樺は、「色が濃すぎる、歯ぬかりがする、匂いが強すぎる」なんてことはまったくありません。つるつる感やのど越しは最高。そしてなによりそばの甘味に富み、小麦粉の匂いがしないという点で二八を超えます。

しかし「白樺」は、普段二八や全層粉しか打ちなれていない人には生粉打ちしにくいそば粉です。下手をするとボロボロになります。つまり「白樺」は二八礼讃者からもっとも遠いところにあるそば粉とも言えるのです。そもそもこのwebを立ち上げた理由の一つとして「白樺の生粉打ちを伝授したい」という気持ちが強くあるほどです。

結局二八がいいか生粉打ちがいいかというのは、そば粉や小麦粉の持ち味、さらには個人の好みによって変わるものです。蕎麦と割り粉が出会ってバランスがとれることもあれば、蕎麦の部位と品種により、そば粉自身でバランスがとれていることもあるのです。けっして「二八に始まる」ものではないし「二八に終わる」ものでもありません。

ただ二八には「打ち置きが効く」「暖かい蕎麦に向く」という利点があります。そういう意味では生粉打ちよりは守備範囲が広いのは事実です。

営業用の蕎麦はやはり打ち置きする必要があり、ほとんどのそば屋が生粉打ちでない最大の理由でしょう。

暖かい蕎麦を生粉打ちで作るのはなかなか難しいものがありますね。生粉打ちの蕎麦は暖かい汁のなかではあっと言う間にとろけてしまい、食感を損ないます。よほどしっかり打って、短時間で食べないとおいしくありません。

私は自分で食べるときは生粉打ちで暖かい蕎麦にすることがありますが、家族に暖かい蕎麦を食べさせるときは絶対に二八にします。食卓に出してすぐに食べなさいと言っても、それからお茶を入れるのがカミさんであり家族ですから、生粉打ちではだめなのです。

なお、割り粉に使う小麦粉は非常に奥が深いようで、普段生粉打ちの私はあまり知識がありません。少なくともスーパーで売っている家庭用の小麦粉では壊滅的においしくありません。

わたしの常用は高山製粉で扱っている「つなぎ粉」というものです。これは比較的小麦粉臭さがなく、さすが割り粉専用の小麦粉という感じがします。



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