胡桃亭のそば粉(3)



初稿020606


胡桃亭のそば粉。これまでに20回ほど打ってみましたが、ここまででつかんだコツを書いておきましょう。

・加水

基本は、手早い加水。これにつきます。つまり蕎麦のタンパク質同士が部分的に集まってしまわないように、一気に加水してカオスにする。これです。

適正加水率はそば粉重量の58〜59%のようですが、分散加水(全加水量の80%の加水)をした段階でかなり濡れた感じになります。砂場の砂を水でぬらした感じですね。細挽きでは分散加水後はまだサラサラですから、ここですでにかなり感じが違います。

さらに一回目のくくり加水をすると、相当に濡れた感じになります。しかしなかなかまとまりません。私のまとめかたは、ゴロゴロと転がして自然にまとまるまで加水する、ですがこの方針でまとめて玉にすると、できた玉は相当に水っぽく、じと〜っとした感じになります。

これはそば粉が粗いので、まとめるためにはタンパク質の粘性だけでなく、水そのものの粘性も利用する必要があるからです。

ではこのまとめかたで加水が多すぎるかというと、そうではありません。菊ねりをするうちに湿気が引いて、硬い玉になってきます。胡桃亭店主、村上さんのお話しでは「このそば粉は、そうなんですよ」ということでした。このそば粉の特長なんだそうです。そば粉の細胞に水が吸収されるので、玉になった直後は加水しすぎの感じでちょうど良いわけです。

むしろいけないのは、硬さを見ながらモタモタ加水することです。多分初心者はそうするんだろうという加水をしてみると、見事にボロボロになってしまいます。

繰り返しますが、一気に加水してカオスにし、もたもた練らないで玉にする。これです。


・菊ねり

この粉を練るコツは、手のひらで玉全体に平均的に圧力をかけてあげることにあるようです。細挽き粉だとあまり圧をかけなくてもなんとかなります(加圧したほうがもちろんいいですが)。しかし、胡桃亭は意識的な加圧がコツのようです。

最初のページにこの粉の粗さを強調しましたが、実はよくよく観察すると、かなり細かい部分から粗い部分まで、多彩な粒度の部分が含まれているようです。これが意外な粘性の源で、細かい粉(粘度が高い)は粗い粉(粘度が低い)をつなぐ接着剤の役割を果たします。だから粗い粉の粒間に細かい粉を押し込んでやる意識がこの粉を麺にするのに役立ちます。


・延し

丸く延ばしてから巻き延しで四角くする「角だし」技法はどうも無理のようです。生地が切れてしまいます。今のところ秘儀・四角玉のばしでのみ延ばすことが可能なようです。延し板面には打粉を多めに、逆に麺棒の当たる表面にはまったくうち粉を打たずに延ばすのがいいようです。最後にたたむ前に表面に打粉を落とします。

一回に200グラムまではこの技法でなんら問題ありません。400グラムだとかなり難しくなりますが、まだ延ばすことが可能でした。


・たたみ

これは慎重にやるしかないですね。生地の端を持ち上げるとき、かなり慎重にやらないと生地が切れます(切れるというより割れるというべきか(^^;))。


・切り

これは実技ページに書きましたが、庖丁を斜め向こうに押し切るのがコツ。庖丁の切れ味も必要ですね。ここへきて青二鋼の真価発揮です。

太さはきりべら18以下に太く切るのが美味しいようです。細くしすぎるとザラザラの舌触りばかりが目立ち、味も薄くなります。逆に太い分にはこのそばは持ち味を発揮するようで、切りべら15程度まで太麺にしても美味しかったです。

・生舟

わたしは通常、切ったそばを生舟がわりのタッパーに入れて20〜30分休ませます。ところが胡桃亭は粘りが少ないので、まずタッパーは使えません。タッバーに移す時にそばが切れてしまうからです。

そこで胡桃亭は、切ったら庖丁ですくって、そのままの姿で平らなお盆の上にのせています。茹でるときもお盆を鍋の上に持ってゆき、そっと湯に滑り落とします。湯に入って10秒経てば、もう切れる心配はなくなりますが、それまでははれものに触るような扱いが肝要です。

・茹で

茹で時間は25〜30秒前後ですね。太さにもよりますが、やや短めが美味しいです。



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