CPUクーラーの音質


100630初稿


1.CPUクーラー (CPUファン+ヒートシンク)は音質上重要部品です、が…

アンプの世界では、パワーアンプに使う大型のものはもちろん、基板上の小さいものまで、ヒートシンクにどういうものを使うかは音質上重要です。かないまるが設計したアンプやCDプレーヤは、ヒートシンクを厳選していますし、テフロンテープなどで振動を軽く止めてチューニングしてあります。



これは、AVアンプのパワーアンプのヒートシンクですが、フィンの途中にリブがあり、そのリブの位置が全てのフィンでずらしてあります。同じ位置にリブのあるフィンは一枚もありません。これは各フィンの共振周波数を変えて、共振を抑えるためです。またフィン端にうっすらと見えているのはテフロンテープです。これもフィンの鳴き止めです。

PCの場合、ここまでチューニングされたパーツを使うのは (そもそも存在しないので) 無理としても、ちょっとした知識で音質が随分違ってきます。


2.現用のCPUクーラー

まず現用品をご紹介しましょう。




たとえばこれ。スゴク音質がいいんですよ。かないまるはsocket478時代にこのクーラーが好きでよく使いました。二台に一台はこれが入っていましたかね。透明樹脂にブルーLEDの光が入るおしゃれなものですが、同じ形で黒い樹脂のものもありました (透明樹脂のほうが高音質でした)。

このクーラーの音質がよい理由は、

の4点です。特にファンコントロールは静音性も上がるのでよいものです。



これも非常に音質のよいクーラーです。アルミ押し出し製法のファンレスヒートシンク「クーラーマスターZERO-1」というものです。マザボ上のリテンションキットを外して直接ビス止めする構造で、CPUの交換などは気楽にはできませんが、とにかくベースが分厚く、取り付けもガタやビリ付きと無縁のもので、低音がしっかりします。



ただしファンレスのままでは放熱容量不足で熱くなりすぎてCPUが危険なので、8センチファンをテープ止めし、低速で回転させて使っています。


3.音のわるいCPUクーラーとは

では音が悪いクーラーはどういうものでしょう。

高級、高額品が概して音が悪いんですが、なかでもよくないのが、「精密薄フィン」です。



たとえばこんな雰囲気。ちなみにこの画像は合成イメージで、実在する商品ではありません。

向こう側の見えないところにファンがあります。強制空冷は同じ体積なら表面積が多いほど冷えますので、薄いフィンを多数枚使うのが有利なのでこうなるわけです。

ところがアンプ設計の常識では、この手のフィンはよい音がしません。アルミ板一枚一枚が薄すぎて「ビラビラ」という音をたてて分割振動するので、中高域に非常によくない音のクセが乗ってしまうのです。コスト的には安いので低価格アンプでは使うこともありますが、そういう場合も防振処理を併用して音質対策をして使います。CPUクーラーのように無防備にビラビラのままでは使いません。

押し出し製法は、ビラビラ音がいので傾向的に音質が良好です。

あ、「押し出し製法」の意味がわからないですか。もう一つ例を上げればきっと分かりますね。


4.アルミ押し出し製法



これが典型的な押し出し製法のヒートシンクです。溶けたアルミを金型に入れて、金型に開けた穴からアルミを押し出します。穴は櫛歯形状そのものになっていて、金太郎飴のように同じ形をした長〜いアルミのサッシをまず作ります。それを寸法に合わせてカットするとヒートシンクにります。つまり画像で見えている面が切断で、下の部分の凹んでいる部分は、カットしたあとにさらに機械加工で削って作ります。

CPUに触れる部分が肉厚のベースになっていて、そこから上方に延びるフィンは同一の連続した金属で作られています。肉厚のフィンはベースと一体なので、分割振動が起こりにくくて音質がいいんです。

PUクーラーの高級品は判で押したように「ヒートパイプ、銅、精密薄フィン」で構成されていますが、音質的にはいいことがありません。だれも比較しないのでそんなものがもてはやされるのでしょうが、ヒートシンクはアルミ押し出し材だけでできている安価でシンプルなものが高音質なのです。

ところでこの画像のヒートシンク、見覚えがありますね。



そうです。インテルのリテールクーラーです。




ファンを外すとこんな感じ。とてもきれいなヒートシンクが入っています。リテールクーラーは騒音が少し大きいですが、中身が素直なのでなかなか音質は侮れません。まだ持っている人は騙されたと思って是非交換してみてください。CDでも聴いてみればきっとビックリしますよ。


5.インテルクーラーの正しい使い方

インテルクーラーは、騒音レベルが世代によりまちまちで、静かなものなら音質用にそのまま使えます。熱に余裕がある場合は電圧を下げて回転数を下げれば、静かになるものもあります (電圧を下げてもゴロゴロと音が出て静かにならないものもありますが)。

ただし、一点だけ注意があります。それは、CPUとの接触面にあるアルミ箔と柔らかい黒樹脂の部分を除去するということです。



この部分です。新品のときは薄い黒樹脂をアルミ箔で覆った構造になっていて、装着すると黒樹脂がアルミ箔のなかで逃げて薄くなり放熱性能が出ます。ところがこの部分がダンプ材になり、音が死んでしまうのです。二回目の使用にいたっては、平面度が出ないので放熱性能も出なくなります。

そこでアルミ箔をはがして黒樹脂を洗剤を使って取りのぞきます。アルミ箔は黒樹脂を封止するために強い両面テープで貼りついているので、その糊をとるのが大変ですが、まずアルミ箔だけはがしてから台所で洗剤でゴシゴシ洗えば、10分程度できれいになります。

最後にお湯をかけてアルミの温度を上げて、タオルでくるんで湯を切ればすぐに乾きます。



きれいになりました。同じものには見えないですね。



樹脂を取った代わりに、熱拡散用コンパウンドを使います。 シリコンペーストと銀ペーストがありますが、音質はシリコンのほうが標準的です。あまりたくさん使っても脇に出てしまいますので、上の画像のタイプで 4〜5ミリ絞り出せば充分です。軽く指で広げてから装着すれば、装着圧で延びます (指についたコンパウンドはティッシュで拭き取ってから中性洗剤で手を洗えば簡単に落ちます)。


6.交換してみよう

というわけで、アルミ押し出しヒートシンクを持つCPUクーラー。ぜひ試してみてください。びっくりするかもしれません。
クーラーはヤフオクなどで探せば、適当なものが入手できると思います。

(丁度いま、本日6/30日夜8時終了で、二番目の画像のものが出品されてますね)