マザーボードの音質



100614初稿


1 音質はマザボで決まる

PCはいろいろなパーツでできています。回路構成はそんなにバリエーションがあるわけではないと思いますが、アンプやCDプレーヤを設計した経験から、電源やグラウンドのとり方、回路の配置、パターンの引き方なとで音質が変わると思います。

もちろんPC設計者がいわゆる「音質」を考えているかというと、ほとんどの場合そうではないでしょう。新しいCPUやチップセットが登場した直後は、とにかくPCとして安定に動作させるので精一杯。その後も他社比較でどれだけ特長を出せるかに腐心するのだと思います。

まあたまに「高音質」を謳ったボードが市場に出てくるようですが、ケミコンを変える程度のように見えます。そういうマザボを入手したこともありますが、残念ながら結果は十分ではありませんでした。

そういうわけなので本質的にはマザボの音質はギャンブルです。買って聴いてみないと分かりません。かないまるは30枚以上のマザボの音を聴いていますが、それは市場にあるものの何ppmに過ぎません。でもそういう目で見続けると、まず音が良くなくて買わない方がいいというマザボというのが分かってきます。でもよいものを入手するには、ひたすら入手して比較してみるしかないようです。

かないまるは普段の画像処理、WEB作成などの事務用にはソケット775のマザボを使っています。ソケット775以後のマザボは、まだ高額なので比較経験はありません。ただ、以下にご紹介するソケット478での経験から選定したボードを使っていて、音質はある程度だと思います。

まあ、PC関係の雑誌が毎月のように作っているたくさんの試作PCを片っ端から聴いてみたいものですけどね。きっと「これがいいかな」というのが見つかるような気がしますが。


2.チャンピオンのマザボ

そういうわけで、多くの比較からかないまる的に音のよいボードが分かっているのはソケット478のボードです。最初にご覧いただいた二台の音質PCに搭載してあるマザボもそうです。まずそれをご紹介しましょう。



この画像はチャンピオンのAOpen製「AX4SG-UL」というもので、非常に音質のよいマザボです。ソケット478のマザボは通算で十モデル以上の音を聴きましたが、その中でもトップクラス。インテル865チップセットを使ったATX規格のPentium4用のボードです。

AX4SG-ULは「P888」で藤田恵美さんの Camomile Best Audioのマルチチャンネルのミックスを確認していたころに使っていたものです。すでに公開してあるとおり、まさにこのマザボ上の音源チップが出すマルチチャンネルの音でミックス確認をしていたのです。このときのボードの現物は壊れてしまいましたので (これも片々雑事などに公開済み)、久しぶりの再会です。

オンボード音源は、きわめて有名な Realtek AC'97 CODEC (ALC650)で、5.1チャネル対応が始まった初期のものです。

入手してみると、S-ATAのHDDをどうやっても認識しないのが当時と全く同じで、なんか旧友に会ったみたいな気がしました (このボードはどうやるとSATAのHDDを認識するんだろう…)。

AX4SG-ULは今も人気があり、付属品や取説がそろった状態のよいものは、2010年3月現在オークションで6000円前後で取引されています。つまり決して安くはないんです。

本年3月ごろ、音質PCを形にするために、 まずこのマザボを二枚入手しました。一枚を使用し、もう一枚をバックアップということです。活発に取引されているので入手は容易でした。

ところがこの二枚は製造時期が違うようで、音質も少し違います。一枚は一位ですが、もう一枚は三位でした。このへんがギャンブルのギャンプルたる所以です(^_^;)


3 第二位のマザボ

では第二位は。それは、MSI社の「P4MAN-V」という、マイクロATXのボードです。



VIA社のVT8751A+VT8235チップセットを使ったsocket478のPentium4用のmicroATXボードで、集中検討時に音が良いと認識しました。AOpen製「AX4SG-UL」をいろいろな意味でチャンピオンにしまししたが、CD-R焼きはこちらが専用機でした。その後、家族のPCが壊れたので、家族用に開放。その後息子専用となり、今も息子が使っています。


4 マザボの音質条件

このほか会社の試聴室で使っている、やはり音質のよいPCも同じVIA製のチップセットです。インテル865と、VIA8751は、音質のよいボードが作られる可能性があるといえるでしょう。しかし、同じ構成で全く音質がダメなボードも経験しています。ではどこで音質が決まるのでしょう。もちろん電源やグラウンドの引き回しも重要でしょうが、下記は念頭におくとよいと思います。

まずグラフィックと音源がオンボードであること。これはもう大切な条件です。後述するSCSIカード以外は、AGPもPCIも、拡張スロットには何もささないのがいいのです。音源が載っていないマザボはまずありませんが、グラフィックがオンボードでないマザボはたくさんあります。この場合グラフィックはAGPカードで出力する構成となりますが、これが音質をぐぐっと悪くします。

このことは、AX4SG-ULのようなオンボードグラフィックのあるマザボに別途グラボを挿してみればすぐに理解できます。内臓グラフィックに比べて、グラボを挿すと一気に音質が劣化するからです (比較してみればだれでもわかると思います)。

AX4SG-ULの音質がよい理由として、20ピン電源コネクタと4ピン電源コネクタは近いことが考えられます。

実はこの二つの電源コネクタは離れているのが普通で、AX4SG-ULのように至近距離に並んでいるのは実は珍しいのです。コネクタは別でもボード内ではグラウンドは一緒です。電源ユニットでも一緒。なのでこの二つの電源コネクタが離れているとグラウンドループができて、グラウンドリターンが別のコネクタを経由しやすくなります。つまり基板内のグラウンド電流の流れ方が汚くなり、複雑な磁力線が飛び交うのです。



それでも、4Pコネクタが板端に近い場合は、4Pのほうの配線をなるべく基板の端に近付けて通して20Pコネクタのところにもってくるとグラウンドループがつぶれて音質がよくなります (上の画像の赤矢印参照)。

4Pコネクタが基板の中のほうにあるボードは、こういうひきまわしが不可能なためか、良い音がしない傾向を感じます。

これは逆説めきますが、マザボの音質を判断するには、内臓音源の音がいいことが条件です。内蔵音源の音質にくせがある場合、焼いたCD-Rの音にもほぼそのままのクセが現れます。

かないまるはマザボを入手すると、シャーシにつけないで、テスト環境でまず鳴らしてみます。電源、モニター、キーボードなどが全部それように一セット用意してあります (今もあります)。もちろんCD-Rも焼きますが、WindowsXPのインストール後のBGMで、わくわくしたりがっかりしたりするものです。

AX4SG-ULは内蔵音源がとても高音質です。リードテックのごくありふれた音源チップですが、エアがリッチで細やかでとてもよい感じの音がするんです。P4MAN-VはVIAの音源チップだったと思いますが、これもなかなかいい音がします。