USB親指シフトキーボードのキータッチ改善
020306 公開
このページでご紹介してきたUSBキーボードですが、最初のインプレッションでは、キータッチはとりあえず肯定的な評価を出してきました。しかし数時間連続的に使ってみたら指が痛くなりました。常用するのには少々キーが重いということですね。そこでキーを軽くする過激な改造をしてみましたので報告します。
1)どのようにするか
前回の内部構造の解説で、(5)のゴムカップの一部を切除することにより、押し下げ力を小さくする改造を加えます。このゴムカップの一部を切除するという改造は、基本的にはSTARTさんに教わったものです。ATARTさん、入れ知恵ありがとうございます。
2)カットの実際
改造そのものはごく簡単で、ゴムカップシートを取り出してカットする部分を指でつまんで折り畳み、切れ味のよいニッパでカットするだけです。だいたいカップ外周で1/6〜1/5程度をカットしています。
3)カット量はどうやって決めたか
実はこのカットは、USBキーボードでいきなり実行したわけではなくて、このキーボードとほぼ同じ押し下げ力とカップ形状のJISキーボードを一台つぶして、ゴムキーの場合の軽さの限界を調べました。またどのようにカットするとよいフィーリングが残るかも調べました。
その結果、バネキーと違って、軽すぎるときわめて使いにくくなることがわかりました。バネキーは押すにつれて力が増えますが、ゴムキーは一山超えると重さがなくなるため、軽くしすぎるとキーボード上に指を止めておくための感触をつかみにくくなってしまうのです。
次にカットは一カ所に集中してよいことがわかりました。二カ所以上に分散してもカットが大変なだけで、結果は大差ありません。
というわけで完全に一台オシャカになりましたが、得るものは大きかったです。
この画像は、今回カットしたゴムのカスですが、だいたい同じ大きさにカットできているのがわかると思います。もちろん失敗もありますが(カット量が少なくて切り足した場所が何カ所かある)、概ね同じ調子でカットできているのは練習のたまものです(自慢げ…)。
4)ストローク特性はどうなったか
静加重によりキーが落ちるときの加重量を測定しておきましたので公開しておきます。
まず改造前ですが、数個のキーで測定したところでは、平均52グラムでした。親指シフトキーボードとしてはKB211(初期型)よりやや重たい程度だと思いますが、フリクションが大きいので指が痛くなるようです。
今回の改造では、ENTERキーだけカットしないで残しました。元のフィールを確認できるようにするためです。
改造後は、10個程度のキーを測定して、30〜35グラムになりました。フリクションに引っかかって止まったりしますので、あまり正確には計れませんが、大雑把にはキーの重さは30〜40%下がったと言えます。
5)フィーリングはどうなったか
これはもう快適の一語につきます。ニッパでカットしただけなので多少のばらつきがあり、重さの残ったキーは今後カット量を増やして調整するつもりですが、とりあえず現状でも打鍵は飛躍的に楽になりました。この記事もUSBキーボードで書いていますが、ほとんどストレスはありません。KB211との比較では、キーが重たい初期形のKB211よりは打鍵が楽です(最近のKB211はどういう感触か知りません)。KB611には負けますが肉薄していると思います。
なお高速に打鍵できるようになったせいか、共用キー独特の誤変換が少し出るようになりました。しかしこれも、指の姿勢をきちんとすることで入力に支障があるというほどではなくなります。
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というわけで、かなり過激な改造のご紹介でした。保証が効かなくなりますし(そりゃそうだ)、失敗のリスクもありますので、どなたにも勧められることではありません。とにかく富士通さんにはこういう改造をする必要性は理解していただき、次回作の参考にしていただきたいと思います。
次に、追試されるむこうみずな方がいらっしゃるようなら、1〜2キーなら失敗しても、普段使わないキー(Windowsキーなど)のゴムカップを切り取って使うことが可能だと思います。もともとENTERキーはゴムカップがゴムシートから独立していますが(私のだけかな…)、同じようにすれば大丈夫。
なお、使えば使うほどDELキーのFnシフトは使いにくいですね。この訴えはもうごく普通のもののようなので、富士通さんには早急に対応をお願いしたいと思います。多少サイズの大きなドライバになっても構わないと思います。なお、この対策のためにシェアウエアを買うのはいやです。
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