デジタルアンプの基本メリット




更新 040517
初稿 040501


さて、オーディオ波形と全く似ていないパルス状の波形で増幅するのがデジタルアンプだということがわかりました。ではデジタル化するとなにがいいのでしょう。

いろいろなメリットがありますが、まずはアナログアンプの音質劣化の原因になっていた熱の問題を見てみます。

1.デジタルアンプは熱歪みがない

まず、アナログアンプのところで出てきたのと同じように、素子の発熱の状況を見てみましょう。アナログアンプの発熱を画像をもう一度みてください。



何度みても、とんでもない発熱波形ですよね。でもこれがアナログアンプの裏の世界だったのです。ではデジタルアンプの発熱はどんなでしょう。



これがデジタルアンプの発熱です。どうですか。発熱が非常に少ないですね。また僅かに残る発熱もオーディオ波形と形がよく似ています。つまり熱による歪みが発生しにくいのです。

なぜそうなるか。実はオーディオパルスというのは電源電圧を切り取ってきたものですが、その切り取りを担当するのがQ1とQ2です。Q1とQ2は交互にオンオフを繰り返して出力を電源とつないでいるだけなのです。つまりQ1とQ2は非常に高速なスイッチとして動作しています

ところでみなさんは、電熱器 (焼き肉グリルも同様) や電灯やアイロンのスイッチを一日に何度もオンオフすると思います。では電熱器やアイロンを使っているときに、スイッチは熱くなりますか。壁のスイッチが熱くて触れないことがありますが。

ないですね。なぜかというとスイッチには抵抗がありません。抵抗がないところには発熱はないのです。

そうなんです。Q1とQ2をスイッチのように使うことがポイントなのです。Q1とQ2は半導体スイッチなので抵抗が完全にゼロというわけではないので、若干は発熱します。しかし発熱はアナログアンプに比べるとなんと数十分の一ですんでしまいます。

このようなわけで、デジタルアンプでは、発熱がまず少なくなります。すでに小型化を活かしたデジタルアンプが市場に出ていますが、これは発熱が少ないメリットを小型化の面で活かしたものです。

TA-DA9000ESなどのような単品コンポーネント用の世界では、小型化することにはあまり大きな意味はありません。しかし、発熱が少なく、なおかつ発熱の形が素直なので、音がとても自然になります。これが従来のアナログ方式では達成困難な自然な音楽再生に活かされるのです。


2. TA-DA9000ESは大きいか小さいか。

一体型AVアンプとして、しかもデジタル化されたのに、意表をつく巨大シャーシ。TA-DA9000ESは発表当時は「ラックに入らない」と物議をかもしたものです (現在はラック屋さんが「TA-DA9000ESが入らない」と責められているとか…)。フロントパネルの途中が段状に飛び出したデザインとその威容に「ボンネット電車」という異名を下さった評論家先生もいらっしゃいます。

ではTA-DA9000ESは、本当に大きいでしょうか。

実は私は、TA-DA9000ESはすごく小型だと思っています。なぜなら30Aを超える瞬時源流供給能力を7チャンネル同時に出力可能なアナログアンプは、AVアンプには存在しません。ファンレスで200W×7チャンネルも存在しません (と思います)。

もしアナログ方式でTA-DA9000ESと同じ出力電流容量のアンプを作ると、3〜4倍の容積が必要になります。ちょっとしたベビーダンスの大きさですね。つまりTA-DA9000ESは、これでも十分小型なのです。


3. クロスオーバー歪みがない

では次にクロスオーバー歪みを見てみましょう。これももう一度アナログの例を示します。



ではデジタルアンプではどうか。



これがデジタルアンプのゼロクロス付近です。オーディオ波形は、いわばパルスの濃淡で表現されていますが、ローパスフィルタ通過後のゼロクロスが、他の部分と違う理由はとくにありません。つまり、そもそも「クロスオーバ」がないのです。当然クロスオーバー歪みは発生しません。

このようにデジタルパワーアンプは、発熱による歪みがない、クロスオーバー歪みもない。という、二つの優れた特質を持っています。そのため音離れがよく、微小信号もよく聴こえる資質かまず生まれます。そこに大きなシャーシと巨大な電源を与えたのがTA-DA9000ESの基礎体力となっているのです。


以上、一般論として、アンプをデジタル化すると音がよくなる理由を見てきました。もっと細かい利点はたくさんあるのですが、大きなところはこんなところでしょう。

つまり熱による変調がない、クロスオーバー歪がない。これの二つです。



ではデジタルアンプには欠点がないのでしょうか。

実はたくさんの欠点があります。ざっと並べてみると、

このほか、パワーを扱うローパスフィルタが部品的にまだ未成熟である、とか、振動に比較的敏感であるなど、まだまだたくさんの難しい点があります。しかし、大きなところはこんなところでしょう。

こうした様々な欠点により、従来デジタルアンプは「音楽的にみて、アナログアンプに比べて十分でない (UK/Hi-Fi choose誌の表現)」と言われがちだったのです。

S-Master およびS-Master PRO方式は、こうした欠点に対してほとんどすべて対策を打ちました。その一つ一つが、S-Masterの優位性、他との違いとなっています。次ページからそのへんを見て行きましょう。



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