TA-DA7000ES勉強会



i.LINKと同軸。エンスーならどっちで聴く?


初稿 050504

さて、 i.LINKについてご紹介しましたが、CDは、 プレーヤが対応していれば、i.LINK、同軸、光の三方式で再生することができます。

ではどの順に音がいいのでしょう。以下はあくまで理論上ということを前提に読んでください (たとえば10万円のプレーヤと200万円のプレーヤでは、この順番は簡単に逆転するでしょう)。

さて、答です。

1)まず、H.A.T.S.をオンにすることが前提なら

i.LINK>同軸>光

となります。

H.A.T.S.はプレーヤ側の読み出し速度を可変することで、オーディオマスタークロックをアンプ側に置くことを可能にして、D/A変換時のジッタを理論上ゼロにする方式ですから、一番音がよくなる可能性があります。

これに対して、同軸は、1本の信号から同期信号と読み出し用のクロックを再生するためにPLLを使いますが、理論的には若干のジッタが残る恐れがあります。このPLLの音質をよくするために非常に大きな技術が必要で、TA-DA7000ES/9000ESには、かないまる自身が手を入れた高音質回路が載っています。なのでH.A.T.S.付きの i.LINKに肉薄する音質が可能だと思いますが、限界的には i.LINKの方が上です。

さらに光接続は、デジタル信号を「電気→光、光→電気」と変換しなくてはならず、ここで大量のジッタが混入するので、まず低音が弱くなります。かつてデジタルシステムノイズが多かったころは光接続ののメリットもありましたが、現在では最低位のリンクといえます。


2)次に、H.A.T.S.をオフにすると

同軸>i.LINK≒光

となります。

もともと i.LINKの伝送クロックは、オーディオ信号のクロックと全く関係ありません。H.A.T.S.がないと i.LINKは片方向伝送となりますが、オーディオ信号のシンク位置に、理論的にはぴったり同期しているクロックがないのです。

その代わり i.LINKのクロックは非常に高速なので、たくさんのクロックがあり、最も近い位置のクロックに信号が乗せられて伝送されます。

つまりA/D変換が縦方向の量子化ノイズをもっているように、 i.LINKの片方向伝送は、横方向(時間軸方向)にもサンプリングノイズがあり、これが信号に加算されるのです。

この時間軸方向のサンプリングノイズはアンプ側ではジッタに見えますので、光/同軸用に作られたPLLで除去されます。

しかし同軸伝送のジッタが比較的少量で、きちんと作ればほとんどノージッタにできるのに対して、 i.LINKは量子化ノイズですから、理論的に必ず数ナノ秒のジッタが必ず混入し、これは避けることができません。

というわけで、ジッタ量の差から上記順番となるわけです。聴感上はH.A.T.S.なしの i.LINKは、音増が不鮮明で、低音感が弱くなる傾向になります。

したがってH.A.T.S.を備えない i.LINK機器の場合は、 i.LINKでしか伝送できない信号、つまりSACDの信号やDVDオーディオの信号を聴くとき以外は、同軸伝送の方が音が良いということになります。


3)映像付きの信号(ドルビーデジタル/DTS/AAC)の場合は?

結論からいうと、同軸が最も音がよくなります。 i.LINKではありません。

理由は、映像信号が巨大なデータ量を持つため、データをバッファすることができないためです。もちろんそのようなシステムを設計すれば不可能ではありませんが、映像機器のLSIは大量に使われることを前提に産業的に成立しています。つまり高級機専用のシステムというのは、一台数百万円で販売するとしても作ることは難しいのです。

したがって、マルチディスクプレーヤのDVDビデオ再生時の i.LINK出力はH.A.T.S.をかけることができません。他社さんのはみなそうなっていますし、ソニーがもし i.LINK付きのDVDプレーヤーを作っても、多分そうにしかなりません。

したがって、H.A.T.S.がオンになっていても自動的にオフになりますので、音質の順番は2)と同じ、つまり、

同軸>i.LINK≒光

となります。

なお同軸に混入するジッタは、ほとんどがオーディオデータから混入し、なまじっかオーディオ信号と相関があるため、微量でも音質に有害です。

しかしドルビーデジタルやDTSの信号は圧縮データなので「ビー」とか「ジャー」というオーディオとは関係ない音をしています。そのためこれが起因のノイズが混入してジッタになっても、音質にはあまり悪影響がありません。

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以上をまとめると、映像付きで、なおかつH.A.T.S.付きのマルチディスクプレーヤからの出力と、TA-DA7000ESの接続は、 i.LINKと同軸の両方を接続しておくべきです。

そして、
・映画を見るときは同軸
・CDやSACDで音楽を聴くときは i.LINK
と使い分けるのがエンスーたる道だと思います。


エンスー=ENTHUSIAST 至高の環境を追求する人々

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