TA-DA5700ES勉強会



強化された背骨グラウンド


初稿 120210


では蟹形グラウンド端子を使えばグラウンドは設計完了かというとそうは行きません。次はそこに追加されたDA5700ESでの改良です。


発振に苦労した思い出

グラウンドに関しては、蟹形端子を作った以外にも思い出があります。TA-DB790というモデル設計中に起こった発振問題です。

AVアンプはアンプが 5〜7チャンネル分も同居していますから、安定度を確保する難しさも 2チャンネルアンプより大変です。2003年春に発売した TA-DB790というモデルは、この意味のグラウンドで苦労したモデルです。

低価格のモデルで、S-Master PROを始める直前の最後のアナログアンプでした。丁度アンプの位相歪みを減らすことをめざして開発していて、DA3200ES以後の「広帯域パワーアンプ」の原型を搭載していました。

この時回路をかなり高速化したため、それまでのアンプに比べると元気がよくて、発振がなかなか止まりませんでした。

担当設計者が一カ月やって止まらない。別のベテランがもう一カ月検討しても止まらない。結局かないまるが正月休みを返上して出勤して止めたのを覚えています。そのとき最終的に修正したのがまさにグラウンドでした。そのときは経路を変えました。

改善後はものすごくいい音がして、STR-DB790はHiVi誌の春のベストバイで一位を獲得。冬のベストバイでDA9000ESが登場してしまいましたので話題的にはその影に隠れましたが、10万円以下での一位は冬も不動でした。


DA5700ESのグラウンド改善は「背骨の強化」

では、DA5700ESのグラウンドをどのように改善したのでしょうか。実はノウハウに関わるのであまり詳しくは書けないんですが、ひとことでいうと、以前のモデルにくらべて、より太く強くしっかりしたグラウンドラインを与えたということです。



これはAVアンプの基本構成ブロック図です。とくに変わったものではなく、AVアンプの典型的な回路です。

ここで、入力からパワーアンプのNF抵抗までのラインを、かないまるは背骨グラウンドと呼んでいます。アンプにはたくさんのグラウンドがありますが、このグラウンドは蟹形グラウンド端子とは直接つながっていないグラウンドです (もちろんアンプ内のどこかでつながっています)。



これが DA5700ESで改善したイメージです。ようするに重要な背骨をすごく太くしたのです。

また、図では一本の直線ですが、実際のアンプ内では何本かのグラウンドラインがシリーズにつながり、ブロック間を接続しています。改善はブロック間を接続してゆくグラウンドを、プリントパターンから独立した電線に交換するような形で行いました。改善した場所の太さは最低でも数倍。距離の長いところで一気に100倍以上に改善したところもあります。

この背骨は、アンプの入力端子とプリアンプの入力を、またプリアンプの出力とパワーアンプの入力をつないで、増幅の基準をリレー式に決めています。なので音質上とても重要です。

つまりこのグラウンドが太くなったということは、段間ノイズによるS/Nが小さくなり、またチャンネル間のセパレーションなどが改善します。

でも実はこの性能は測定上の数値に現れないんです。それにDA5600ES以前のアンプが不十分だったわけではもちろんありません。しかし DA5700ESでは、そこを思いっきり太くすることで音質がぐっと良くなったということになります。

実際の聴感上では、おもに低域のボリウム感が良くなりました。ベースの音階、厚み、バスドラのキックのアタックなどがぐっと良くなっているのです。



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