TA-DA5700ES勉強会




1-6 巨大なヒートシンクを支える金具


初稿 120211


このネットワーク基板上のヒートシンク。ファンを回したくないほかに、ひ弱ではないしっかりしたフィンを持つ押し出しアルミを使うことも音質上の配慮です (押し出しアルミヒートシンクが音質がよいことは、音高音質PCを作ろう、遊ぼうのページの「5.CPUクーラーの音質」に書いてあります)。

その結果、このヒートシンクは巨大で重くなりました。重いこと自体は悪いことではありませんが、なにも配慮をしないで基板の上に乗せてしまうと音質的な別の問題が発生します。今回は巨大なヒートシンクを支える金具を作ったという話です。

現在カタログに出ている画像は、基板の上にファンの付いたヒートシンクが載っているだけですが、これは基板を見やすくするためで、実際の商品にはヒートシンクをホールドする金具が追加されています。

ここで商品の画像を乗せてもいいんですか、その前に検討中に撮影した画像をかないまるのデジカメのフォルダからご紹介しましょう。



これが蔵出しの検討中の画像です。なかなか生々しいでしょ(^^;)。かないまるのお手製です。

この金具はネットワーク基板の部品ではなくてシャーシの一部になっています。つまり金具は基板の両端のシャーシにブリッジしてあり、機構部品としてしっかり止まっています。そしてこの金具の中央にある切り起こし部分がヒートシンクを支えているのに注目してください。

これ、上述のごとくかないまるのハンドメイドですが、一本作るのに半日かかっています。ビス止め部を作るためにヒートシンクのフィンも削ってありますが、このフィンのカットだけでも実に2時間。かないまるの音質チューンというのは、実はこんな手仕事が多いんです。

改善の概念です。まず振動のない状態の断面図。



問題なさそうでしょう。でもそうはいかないんです。スピーカの音圧で簡単に振動します。次の図が振動しているときのイメージ。



基板は振動して太鼓のように震えます。ガラエポの多層基板はレーシングカーのボディーと同じ材質ですから割れることはありませんが、固いものではないので、重量物が載っていると低い周波数でよく揺れるんです。

このときヒートシンクが軽ければあまり問題は起こりません。振動が百数十Hz以上であればあまり耳につかないんです (さらに3kHz以上になると、耳についてまた問題になります)。

ところがこれまで述べたように、このヒートシンクは、基板に乗せるものとしては大きくて重くなったので共振周波数が低く、再生音が「ボーン・ボーン」という感じに緩んでしまいました。



これが金具が入った様子です。基板に比べて金具はぐっと強い強度があります。最初は二個のうち片側だけ作りましたが、完全ではないので両側に入れました。ボン付きは完全にとれました。共振周波数が上がり、振幅も一桁小さくなったと思います。


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これが金具が追加された実際の商品の画像です。メカ屋さんがきちんと図面を書いてくれたので最初から設計してあったように納まっていますよね。最終的には「基板に載ったヒートシンクを金具で補強した」のではなくて、「シャーシに固定されたヒートシンクで基板をホールドしている」状態になっています。できあがってみればそういうことですが、この金具周辺だけで、ゆうに一週間は音質を検討した成果です。

CPUクーラーをカットしてここに取り付けて温度上昇がOKになる。金具を作り低音がOKになる。

かくしてこの部分の音質的な煮詰めが終わるまでかれこれ一カ月。 DA5700ESで音質的に難しかった王様的存在ですが、音質ってこうやってよくするんです。

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もちろんこれは機構設計の話。このほかに電気も半端ではない努力をしてますよ。でも電気は一週間で検討できるというものではありません。

この基板の回路の半分を締めるハブの音質設計は、DA5600ES設計開始時点にさかのぼります。なぜなら、DA5700ESのハブ部分はDA5600ESと全く同じだからです。ネットワークデータを音や映像に変換するDSP部分は、 DA5700ESで新規設計した部分。でも、音質的にどうやればいいかの基本はDA5600ESで得たノウハウが役に立っています。というかDA5600ESの存在ナシには DA5700ESは作り得ないのです。

設計って本当に積み重ねなんです。継続は力なり。音質設計は新興国には絶対に負けません。



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