待望の高音質銅素材PC Triple C

サエク AC-6000/AC-7000を使った
自作電源コードの作り方

解説編 その1)


初稿140816
更新151003 (解説編と製作編に分け、リライトしました)。


1)まえがき

PC-Triple C は、2014年に出現した新しいオーディオ用の銅素材です。PC-OCCを生み出した技術陣が作り上げたそうで、ファイル・フェブのインタビュー記事がこちらにあります

このPC-Triple C を使った、電源ケーブル素材(切り売り) AC-6000とAC7000A使って電源コードを作ってみました。とても音質が良いのができましたのでご紹介しましょう。みなさんも好みのプラグを取り付けて自作してみてください。



2)PC-OCCとPC-Triple C

長年オーディオ業界で高音質とされてきた銅であるPC-OCCが昨年製造中止になったとき、結構大きなインパクトがありました。PC-Triple Cは一言でいうとPC-OCCの後継素材です。いや、正確には後継とはいえません。全然違う音なのです。良い意味で。

PC-OCCは、加熱した鋳型から溶けた銅を引き出すことで銅線をゆっくり冷却しながら、銅線の金属結晶を単結晶にしたものでした。1985年から製品が販売された技術です。ひずみ感が少ないという音質的な特徴を持っていますが、ほぼオーディオ専用だったため、製造数量が少なくなり製造できなくなったようです。

かわって登場したPC-Triple Cは、純度の高い銅素材を使っているそうです。延伸加工で切れにくいものとのことですから、IC/LSIのボンディングワイヤなどにに使われている高純度無酸素銅でしょう。ただし6Nとか7Nといった酸素濃度を無視した純度は謳っていない、工業的に普通に取引されている素材だと思われます。

PC-Triple Cは、こうした高純度導を鍛造 (平たくいえば金属を叩き伸ばすこと) により結晶を電流方向に揃えたものだそうです。銅を引き延ばす延伸機に加振機を取り付けたようなものと考えられますが、鋳造機に比べると設備費が安いと想像できます。オーディオにお金を使う人がすっかり少なくなったこの時代にオーディオ用に商品が作れる所以でしょう。

公開されている画像によれば、PC-Triple Cは、なるほど電流が流れる方向に結晶が長いことがわかります。通常銅線よりは電流の流れを遮るような結晶粒界が少ないようなので、PC-OCCのようにひずみ感が少ない特徴があるわけです。


3) PC-Triple Cはどんな音質か

制作編はあとに回して、音質の感想を先に書きましょう。電源コードとしてのほか、ケーブルをスピーカや信号線としても使ってみての感想です。

電源コードではどこに入れるかでけっこう印象が変わりますが、今回はかないまる邸の壁とDA5800ESの間に入れました。壁内のFケーブルとアンプの間に入れたことになります。テストソフトは主にポールマッカートニーのキスオンザボトムの一曲目〜三曲目です。

まずAC-6000、AC-7000共通の印象として、非常に自然でストレスの無い音がしました。ポールのボーカルが全く自然ですごく紳士的。年齢的にときどき声がかすれたり、喉からヒュっという異音だ出たりしますが (一曲目の途中で一回だけ聴こえます)、それらが全く気にならない。なのでストレスがなく、試聴を忘れて作品に聴きいってしまいました。この音を聴いてしまうと、PC-OCCは、やっぱり高域に少しクセがあったんだなあと思ってしまいます。

かつてLC-OFCというかなりキャラクタが大きい銅素材がありました。PC-OCCはそれほどではないですが、やはりどこかアニールされていない銅の響きを感じましたが、 PC-Triple Cはそうした響きが少ないのかなと思います。


4)構造

AC-6000とAC-7000はケーブルとしての構造素材に違いがあります。

まず断面積が違いますが、使っている銅線素材は同じもののようですね。AC-6000は各極に45本。AC-7000は68本使って所定の断面積にしているようです。

その他の違いは下記となります。


導体構成/断面積 芯線の被服
(絶縁体)
外側の被服
(シース)
外径定価 (1m単位、税別)
AC-6000 45本/0.32Φmm
3.6スクエア
半硬質塩ビ塩ビΦ11.57,000円
AC-7000 68本/0.32Φmm
5.5スクエア
発泡ポリエチレンポリエチレンΦ13.511,000円




画像はAC-7000です。やや赤みのある導体はいかにも銅という感じ。緑、白、黒の絶縁体は制振材の入ったポリエチレンです。なにか粉末が入っているんでしょうね。かないまるは粉末制振材はほんの小量入れるのには肯定的ですが、AC-7000はちょっと多いかもしれません。電源コードとしては問題ないと思いますが、スピーカケーブルとして聴いてみたらそう感じます。

3本の素線のスキマは綿糸を束ねて撚ったもので埋めてあります (綿糸介在といいます)。その外側に銅箔テープを巻いてシールドし、さらに黒のポリエチレンシースで覆ってあります。

型番や安規要項が金文字で印刷してありますが、こすると簡単にとれてしまいますね。まあインクがないほうが音質は概していいんですが、狙ったのかな…。

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AC-6000は、芯線の絶縁、シースともに塩ビ製のようです。制振剤は入っていないようですが、塩ビはともとも制振性があるので硬度と発泡度をコントロールすることで音質調整ができる素材です。

またAC-6000はライブ側の芯線絶縁体が赤になっています (コールド側の白とグラウンドラインの緑は同じです)。

ケーブルの切り売りは自作オーディオファンにはたいへんにありがたいものです。サエクのオンラインショップでは一割引。購入単位は1メートルです。


5) AC-6000とAC-7000の音質の違い

どちらもかなりいいケーブルです。どちらかというと低音がゆたかでエネルギー感を軽々と出すのがAC-7000
。対するAC-6000は、低音の量ではAC-7000に負けますが、音の自然さはかなりいいです。特にストリングスの旋律の流れるような音質はメロウでたまりませんし、ボーカルにも集中力があります。。

PC-Triple Cの特徴なのか、このケーブルの構造の特質なのか、エージングで音がかなり変わるようです。この変化はAC-7000のほうが大きいです。ポールを三曲聴いてもう一度冒頭にもどると、もうかなり印象が変わっていました。

電源コード制作後5日で相当落ち着きましたが、一般的に銅線は三年間で音が大きく変わりますので、最終的にどんなよい音が出るのかはまだ未知数です。

AC-6000とAC-7000のどちらにするか。

「どちらか選べ」といわれればAC-7000にしますが、それは低音の量感からです。音の純度感やメロウな感じは6000のほうが好感がもてます。

セパレートの方はプリに6000。パワーに7000みたいな使い方も面白そうです。かないまるは当面音を確認しますが、最終的には機器用に6000。タップ類に7000という感じになりそうです。

音質のわりには高額なものではないと思いますので、両方購入して機器との相性をみてもいいかもしれません。


6)自作コードの外観

自作の詳細は次回としますが、できあがったコードの概観をご覧いただきましょう。



壁プラグは医療用ですが、明工社の通常品で3000円しないものです。機器プラグもスイス製で1000円くらい。
3mのAC-7000を半分にして1.5mコードにしましたので材料費は2万円くらいです。

機器側から30センチくらいのところがデブっていますが、そのへんは最終回で解説します。




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