ノイズキャンセル・ウォークマンが素晴らしい


初稿100511


かないまるの5月連休は、例年どおりずっと自宅でリフレッシュでした。平日に休みを入れたりしなかったので連休は暦どおりでしたが、それでも長く休める5月連休はいいですね。かないまるはどこにも出かけずに、もっぱら園芸 (おもに土作り) とスカッシュでカラダを使ってリフレッシュしました。

そうしたなか、メールで「またヘッドホンのいいのがあったら書いてください」とリクエストがきました。こういうリクエストにはお答えする主義ですが、実はかないまるは現在単品のヘッドホンをほとんど使っていません。まあ以前ご紹介したのを娘にとられたので調査はしていますが、新しいのを買う前に去年の12月にネットワークウォークマンの新型が出たときにこれを注文。12月のソニースタイル大阪公演の時に受けとりました。

前人気が高くて注文が遅れた人は年越しだったようですが、かないまるは最初のロットを無事入手できました。

そうしたらこれがなかなかいい。

とてもありがたいノイズキャンセル機能を使うためには付属のヘッドホンを使うしかないんですが、その付属ヘッドホンのデキがなかなかいいんです。ノイズキャンセル機能は、本当に、しみじみと、ありがたい。音楽が音楽として聴けるんです。購入後半年たちますがずっとそのまま使っています。なので今日はこれをご紹介してみようと思います。


1. こんなものです



これがかないまるが使っているネットワークウォークマン NW-A846です。A840シリーズの真ん中のモデルで、メモリが32GBあります (メモリを64GB搭載したNW-A847というモデルもあります)。32GBあればCDが圧縮しないで何十枚も入りますのでこれにしました。半年経って使った容量はまだ半分。かないまるには丁度よいサイズだと思います。

さて、有機ELディスプレイに表示されている楽曲を読めますね。そうベートーベンです。実は今、アンドラーシュ・シフが演奏するベートーベンのピアノソナタ集を演奏中なんです (ジャケ写はCDとは関係ないのを表示させてますが、これは付属のXアプリで自由に貼り付けることができます)。

純然たるクラシック曲。情感豊かな演奏に加えて、ホールトーンがきれいに録れている名演奏・名録音です。とても素晴らしい (あ、お勧めです)。クラシックですから、当然静かな静かなピアニシモも存在しますが、かないまるはこの楽曲を、現在通勤電車の中で楽しんでいます。

そのキーワードは非圧縮S-Masterノイズキャンセル機能です。


2. 非圧縮

NW-846を使い始めて思ったのは「圧縮の時代は終わったな」ということです。圧縮したから普及したのが携帯オーディオですが、音質ではなくファッション性と利便性が市場を作ってきたと思います。勿論機器によって音質差がありますし、選ぶならコレ、というものもありました。

しかしそれは「高音質」というよりは「低音質のごまかし方の上手下手」の世界といえたでしょう。かないまるはひとつのモデルを常用するということがなかなかできなくて、ソニー製とクリエイティブ製 (ZEN) を交互に使っていました。ひとつのものを使い続けようにも音の底が浅くて、時々気分を変えざるを得なかったのです。

でもメモリが安価になって、ふと気付くとすっかり非圧縮の時代になっていました。携帯オーディオも高音質再生ができる条件が整い、機器の音の善し悪しを云々できる時代に俄然なってきたといえます。

かないまるは携帯オーディオでピアノソナタが聴けるようになったことをとてもうれしいと思っています。スキーバスで聴いた初代ウォークマン「TPS-L2」(かないまるが持っていたのは初期ロット)には、しみじみと聴き込める音質がありました (ワウ・フラッタもありましたが)。MDウォークマン、シリコンオーディオにはワウ・フラッタはありませんが聴いて疲れました。癒されませんでした。でもNW-A846から聴こえてくる音楽はかないまるを癒してくれます。「非圧縮」はその第一の構成要素だと思います。


3. S-Master

A840シリーズを購入した直接の動機はこれです。ヘッドホンアンプが S-Masterデジタルアンプになっているんです。これは素晴らしいことです。

というのも、どんな携帯オーディオでもDACは必ずありますし、ヘッドホンアンプも普通存在しますが、据え置き型オーディオ機器に比べるとDACの性能は低いし、ヘッドホンアンプもパワフルとは言い難いのが普通です。

しかしS-Masterは、自身がかなり高級な1ビットDACです。またDAC自身がパワーアンプでもあるので、ヘッドホンアンプの性能も関係ありません。携帯オーディオはお金も容積もかけられないので「アンプが要らない」というのは音質的にとても有利なんです。

実はS-Masterは、使われているPLMという仕組みに注目すると、スタートは1990年ごろまで遡ります。PLMはソニーの1ビットDACの基本動作原理ですが、同期入社の同僚のLSI開発者を中心に開発したものです。当時かないまるはCDプレーヤ設計者だったので、よく飲み屋で二人でLSIの仕様を決めたりしたものですが、試作デバイスを実装して性能を出すために会社に泊り込んでいたこともあります。PLMはその後カレントパルスDACを経てS-Masterでも使われました。電流をスイッチングするカレントパルスDACはかないまるのアイデアですし、そういえば「PLM」もかないまるが命名しました。S-Masterは大勢の関係者が努力して商品化したもので、最初のうちはかないまるは無関係でしたが、TA-DA9000ESを手がけることになってから巻き込まれて(^^;)、死ぬほど苦労しました。

かないまるはNW-A846の設計には一切かかわっていませんが、S-Masterはそういうわけで技術的に20年以上関係してきた仕掛です。なので、こいつを使って電車の中で音楽を聴くというのは、なかなか感無量なものがあります。


4. ノイズキャンセル機能



これが付属のヘッドホンです。いわゆる耳栓型ですね。耳栓型は片側が開放されているという耳の自然の姿と違うので、以前は耳管の閉端共振が原因で起こる特有のクセを感じるものがほとんどでしたが、このヘッドホンはそのクセを感じません。ヘッドホン開発者の努力には本当に脱帽です。

またダイアフラムがとても繊細にできているようで、とても軽いタッチの音がします。勿論NW-A846そのものはノイズキャンセル機能を利用しないのなら他のヘッドホンも使えますが、そうする必要はとりあえず感じません。つまり付属のヘッドホンのデキがなかなかいいのです。

ではそのノイズキャンセル機能です。

A840シリーズでは電車のなかでクラシックの繊細なピアニシモを聴けたり、歌手の息づかいまで聴き取ることができますが、それを可能にしている技術がノイズキャンセルです。ノイズキャンセルは各社が手がけていますが、ソニーの開発の歴史は古く、特にフルデジタルのノイズキャンセルを商品化したのはソニーが最初です (2003年4月発売のMDR-NC500D)

ネットワークウォークマンは今のところアナログ方式が中心ですが、このA840シリーズはフルデジタル方式が搭載されています。



ノイズキャンセルの原理は分かりやすいものです。まず付属ヘッドホンには画像のように先端にマイクがついています。このマイクで騒音をとらえて本体に送ります。本体ではマイクの音をA/D変換して、DSPで信号処理を行い、耳の中で騒音を打ち消す音を作ります。

つまりヘッドホン外部の音 (マイクでとらえるた音) はヘッドホン内では違う音になりますので、まずその音の変化をデジタルフィルタで正確に作り出すのです (この処理はヘッドホンが決まっていないとできませんので、付属のヘッドホンだけで有効となるわけです)。

次にそれを逆位相にしてオーディオ信号と混合し、S-Masterを通して小型のスピーカを鳴らします。その結果耳の中で騒音が打ち消され、混合されたオーディオ信号だけが聴こえてきます。

騒音レベルは17dBも下がります。アンプでなにか音を出してみてください。そこから17dB絞ってみてください。かなり小音量になりますね。そのくらい騒音がなくなります。これだけ静かになると、電車のなかでピアノソナタがちゃんと聴けるというわけです。

ボーカルもいいですよ。歌手の気持ちが息づかいとなって聴こえます。最近のポップスはコンプレッサでピークをガシガシに詰めてあるものが多いですが、それだとオーディオ的な空気が消えてしまいます。逆にいえば、音楽的な空気をきちんと聴こえるように作ったものは、電車の中では聴こえない音も多いものです。

これはかないまるが制作に携わったcamomile Best Audioがまずそうです。もうすぐ発売のcamomile smileも当然同じです。家庭のオーディオ機器で静かな環境で美しく聴こえる音楽はみなそうなのです。

でもA846なら、美しい音楽がそのまま聴こえてきます。


5. ソニースタイルでゲットできる「名入れ」刻印



さて、かないまるのNW-846は「KANAIMARU」の刻印入りです。これはソニースタイルで購入すると入れてもらえます。花柄の刻印なども入りますが、かないまるはシンプルに名前だけ入れました。結構気付く人がいて「あ、特注品ですか。いいですねえ」と注目されます。ソニースタイル価格は市場最低価格より少し高いと思いますが、お名入れ代だと思えばむしろ安いと思います。

また、長く使うつもりなので三年間のワイド保証付きにしました。うっかり踏みつぶしても、一度だけなら新品がもらえるという保証です。三年後には世界はまた変わっているでしょうけどね。


6. 使い方のコツ

NW-A846には、いろいろと設定がありますが、全部オフで使えばOKです。まあ便利だと思う機能は使うのがいいですが (たとえばカラオケモードなんてよくできていると思います)、音質的には初期設定のままなにもしないのが一番です。


7. まとめ

そんなわけで、A846の音質はとても素直で、携帯オーディオの常識を完全に覆すものだと思います。もちろん携帯オーディオになにを求めるかにもよりますが、静かに音楽を聴くには極上のサウンドだと思います。