AVQ&A

音匠仕様はデジタル伝送しても効果がありますか

初校 080710


ご質問

音匠仕様だとなぜ音がいいのか、ホームページの解説を読んでなるほどと思いました。ですが一つだけ疑問があるので質問させてください。

デジタル信号の数値データがエラーなしで読み込めたとしても、サーボ等から発生する電流が最終的に音質に悪影響を及ぼすのはわかるのですが、それはプレーヤー側でD/A変換を行わなくても同様なのでしょうか?
プレーヤー側でD/A変換する場合、最終的にはアナログの信号を扱うのでこういった要素が音質に与える影響は大きいと思います。ですが、デジタル信号自体はエラーなしで読み込めているとしたら、アンプとプレーヤーをiLinkのようにデジタルで接続すればフレーやー側で発生するサーボ制御による不要な電流等による悪影響などを相当排除することができるように思えてしまいます。

音匠仕様のメリットが生きてくるのはプレーヤーからアナログ出力する場合なのでしょうか?それともデジタル接続でも同様の効果が得られるのでしょうか?


お答え

結論からいうと効果抜群です。

まず「デジタルで接続ではフレーやー側で発生する悪影響を排除することができるか」ですが、残念ですが全く排除できません。

理由か簡単に言えば、DA変換に必要なマスタークロックがプレーヤ側からアンプ側に伝送されているからです。しかもクロック成分はデジタルのような波形はしていますが、使うのはクロックが変化するタイミングというアナログ情報です。つまりクロックは、アナログ信号としてケーブルを通じてプレーヤからアンプに伝送されていると言えるのです。SPDIF、 i.LINK、HDMIなど全部同じでデジタル伝送のはずが、そのなかに純然たるアナログ伝送が隠れているのです。

詳しく説明しましょう。

マスタークロックは一般にプレーヤ内で作られます。それがアンプ側に伝送されてアンプのDAコンバータの動作の基準となるわけです。デジタル接続はデータを送りますが、同時に最終的にアナログ波形の時間軸を決めるマスタークロックをプレーヤ側からアンプ側に送っています。

このマスタークロックは、等間隔で揺らぎのないものでなければなりません。ようするに「きれい」である必要があります。それはプレーヤにおいてもアンプにおいてもです。

なぜならマスタークロックが揺れる、すなわち「延び縮みする」と、その揺れどおりにアナログ出力波形が延び縮みしてしまうからです。これは波形がひずんでいることになるので音質が劣化します。

かないまるは「人間は振幅方向、つまり縦方向のひずみより、時間軸方向のひずみに敏感」と考えていてます。つまりちょっとのことで音質は劇的に変化するのようなのです。


さてマスタークロックは、サーポ電流、振動、プレーヤー内のデジタル処理に伴うノイズにより簡単によごれてしまいます。たとえばCD/SA-CDディスクから読み出した光学波形からPCMデータやDSDデータを抽出する回路は大量のノイズを発生しますが、クロックはアナログ波形成分なので、そういうノイズの影響の混入で変形しやすいのです。

さらにマスタークロックは、デジタルケーブルでの伝送中にも、ケーブルやコネクタにかかる振動や、ケーブル間に流れるグラウンド電流の影響を受けます。HDMIやSPDIFは、デジタルケーブルを使ったデジタル伝送ですが、クロックはアナログ信号成分です。ですから「クロックに関してはアナログ信号をアナログケーブルを使って伝送している」と考えなければいけません。

一般にこの考え方が全く普及していないのが、デジタルオーディオの音質に対する理解を遅らせています。とくにPC業界の人にこの傾向が大きいですが、オーディオに携わるひとですらこの事を理解しないばかりか、話を聞いてくれようともしない人が多いのが現状です。

ケーブルがアナログケーブルとしてオーディオ的にきちんとできていることは、オーディオ的に大切なクロック成分の伝送のために音質的にみてとても重要なのです。

またクロックと同時に伝送されるデジタル成分は、クロックの立場から見ればノイズ源にほかなりません。つまりクロックというアナログ成分は、デジタルデータ波形というデジタルノイズと一緒に伝送しているという難しさもあります。したがってケーブルがよくないとクロックが変形してしまいます。

これがデジタルケーブルを変えると音質が変化する理由です。そして、SPDIFケーブルは簡単な構造なので音質用の商品がたくさんあります。しかしHDMIケーブルは構造が複雑なのでオーディオケーブルとして細部にこだわったものはなかなかありません。私が音質チューンをしたSH1010というものがたぶん世界初です (7/20発売)。


ご質問の音匠仕様に戻りましょう。音匠仕様は、プレーヤ内でのクロックの変形を軽減します。ですから音質が良くなりますが、そのクロックが良いことはアンプに伝送されるクロックにとっても恩恵がありますので、やはり音質改善は改善します。

今回発売した音匠仕様5タイトルの最終音質確認は、PS3→TA-DA5300ESの
組みあわせで行いましたが、効果ははっきりしていました。