AVQ&A

camomile Best Audioを車載オーディオで鳴らすこつ
初校 080608


ご質問
この度、パイオニアカーサウンドコンテスト全国大会にてカモミール・ベスト6トラックが課題曲の一枚に選ばれたのはご承知のことと思います。

制作者サイドさんは、「こう鳴って欲しい、またはこういう意図で製作した」みたいな事が御座いましたらご教示ください。「製作者側の意図を再生する」私の理念で御座いますゆえ、ご指導頂ければ幸いです。

お答え

アルバムの採用は随分前から聞いていましたが、課題曲がデスペラードになったんですね。

制作意図ですが、ボーカルアルバムですから、重視したのは歌手が込めた心と自然な声の両方を壊さないで伝えることです。

歌声のダイナミズムを殺してしまうような (歌手の気持ちと無関係な) コンプを排すとともに、音楽を豊かに立体的に作りました。しかし立体感を強調するためのいわゆる「オーディオっぽい」音は使っていませんので、普通の音楽ファンの方がどんなシステムで聴いても楽しむことができるよう心を込めて作りました。

分析的に言うなら、バックの演奏は眼前の全空間に広がるようにしてあります。これは2チャンネルもマルチも同じです。全空間に楽器、または空気が詰まっています。その中に恵美さんがふわりと浮かび歌うのです。私にはこうした音たちが、大きなキャンバスに描かれた絵の具のように見えています。ですからキーワードは「見える限り音のあるキャンバスと歌手の心のこもった歌声」となります。車の中にこのキャンバスをどう作り出すか。

空間の条件があまりに違うので、ホームと同じ音構造を再構築することは不可能でしょう。なので、制作の意図どおりとするのなら、まず楽器をフォーカスさせつつすべての空間を音で埋める必要があります。音が出る場所はずれても全くかまいませんが、どこかに音が集まったり偏ったりはしないほうがよいでしょう。車という空間全体に満遍なく音を広げ、間接音 (気配感など) をしっかり表現し、そこにボーカルを自然に響かせるのです。

車の中にはたくさんの凹部がありますが、スピーカの近くの凹部は注意してください。スピーカの音が凹部に回り込むと音色にクセが付きます。私のオデッセイは砲弾形のスピーカがダッシュボードに載っていますが (フロントピラーにボルト止めして、飛んでこないようになっています)、スピーカについていたショートホーンを外してあります。これはホーン臭さをなくすためです。

しかしホーンをとると周辺に音が広がるので、とたんに弊害が出てきました。私のケースではAピラーと窓ガラスでできる凹部で共振が起こりキャラクターが乗りました。ガラス窓を埋めるわけには行かないので、フェルトをスピーカに巻き付けて音が凹部に回る量を減らして弊害から逃げました。

この砲弾型スピーカは車載用です。その設計者は音を広げすぎるとこうした事故が起こることを良く知っているのだと思いました。何も知らないでそのまま使えば弊害は排除できます。しかし指向性の広い状態はハイエンドカーオーディオの出発点だと思いますので是非挑戦してみてください。

次にスピーカのリターン (マイナス側)。バランスドライブアンプでない場合バッテリーに戻す方が多いと思いますが、パワーアンプに戻してから一括してバッテリーとつなぐ方法との音の比較は必ずしてみてください。そのほうがアンプの負帰還が正確にかかります。

デスペラードは恵美さんのお母さんの記憶につながる大切な曲です。自分ではよく聴きますがデモには使いません。うっかりかけると私が泣いてしまうからです (最近では「心の輝き」という曲でよくこみあげます)。ぜひ、涙が出るような感動を引き出してください。