AVQ&A

コンプとはなんですか
初校 080429


ご質問
かないまるさんこんにちは。camomile Best Audio、楽しませていただいています。大変音がよいので大満足していますが、音のために使わなかったコンプレッサというのはどういうものでしょうか。またCDの音が悪いのはなぜですか。


お答え

コンプレッサは音の大きいところを小さくし、小さいところを持ち上げる動作を連続的に行う処理です。昔はリミッタといいました。自動録音レベル調整の動作の速いやつだとも言えます。

コンプレッサはいろいろと実用的な目的もあります。camomile Best Audioでもコンプは使っています。ただ、ものすごく強力にかけたりはしていません。

しかし現在は、ほとんどのCDが一様に強いコンプ処理かされる困った風潮があります。そういうのがあってもいいですが、コンプの軽い、あるいは使っていないものがほとんどないのが困ります。出せないのかもしれません。音圧競争、インパクト競争がありますからね。



以下Q&A用に加筆

コンプレッサがかかっている様子は、音楽編集ソフトで簡単に見ることができます。フリーソフトではオーダシティーというものがオススメです (Linux/UNIX・Mac OS 9/Mac OS X・Windowsで動作するそうです)。

リッピングソフトでCDからWAVファイルを作り、これを編集ソフトにドロップすれば、コンプの様子はすぐにわかります。



これは6〜7年前のJ-POPの例で、一曲分の波形です。ポップスですから平均的にレベルが高いですが、それでも音楽の自然の起伏は十分にたくさんあります。コンプも軽い処理がおそらくかかっています。camomile Best Audioもだいたいこういう感じです。




これが最近のJ-POPの例です。レベルの高い状態がバーンと続きます。単に録音してミックスしただけでは音楽波形はこのようには絶対になりません。コンプレッサで詰めるとこうなるのです。




しかし時間を拡大してみると、クリップはしていないことがわかります。クリップさせないで音圧を上げるのがコンプレッサの役目なのです。しかし副作用として、一般に硬質な音になります。


さて、コンプレッサはまだいい方で、CDによっては意図的なクリップにより音圧感や迫力を出しているのかなというものもあります。



これはオーダシティーでクリップしている波形を見た例です。波形の上部の平らなところがクリップです。クリップ波形が斜めになっている部分もありますので、クリップとコンプが何度か繰り返されたかもしれません。

非常にメジャーなJ-POPの歌手の楽曲で、テレビで観るととても上手な歌手ですが、CDを聴いたら「それはないだろう」というヒドイ音がして絶句しました。

クリップは、たまにするくらいならあまり問題ではありませんが、常時クリップしっぱなしというようなものを再生するとオーディオ機器 (特にスピーカ) の音質が劣化してしまいます。

通常音量でかけても音が荒れてしまいますが、大音量で演奏するとツイーターが痛むことがあります。耳にも良くないので再生することは避けたほうが無難ですが、この歌手のCDを聴きたいときは選択の余地がないのが困りものです。

というわけで、なみさんもぜひ実際に波形を開いてみて、なにか感じてみてください。編集ソフトなので、波形を見ながら再生もできます。音のいい5年〜10年前の録音を開いてみてください。なにが違うかなんとなくわかると思います。

コンプにはいろいろなよい点もたくさんあります。まずリズム感を良くするような使い方があります。歌声を張りのある良いものにする使い方もあります。しかし音圧競争やインパクト競争の道具になっているのが現状です。こうなると、音楽がワンパターンになり、元々持っているダイナミズムが失われます。

もちろんコンプ処理されたものは携帯オーディオではより使いやすいものになります。騒音下で音が聴こえ続けるからです。MP3で圧縮してもほとんど劣化を感じないようにもなります。

しかしコンポーネントオーディオでCDを聴く楽しみは、後退しているとしかいわざるを得ないでしょう。CDを作る人たちも競争があるので、やめたい人もやめられないという難しさがあると聞きました。実際、コンプの浅い程度のよいのを探そうにも、なかなかないに等しいのが困ります。

みなさんが「こんなにしてくれなくてもいい」と言えば、CDの音はもっと良くなると思います。camomile Best Audioが5万枚も売れたのは、その意思表示だと理解されていると思います。