AVQ&A

アンプの出力と音質の関係について
初校 080810

ご質問

お勧めソフトのコーナー(小沢征爾「悲愴」)を見ていて疑問に思ったのですが、

と書かれていますが、TA-DA5300ESでは出力が小さいということでしょうか?でも1ch当たりの出力は155Wと150Wであんまり差がないと思いますが。これで音が良くなるというのはどういう原理なのでしょうか?教えてくださいませ。

お答え

この話は出力が小さいということではありません。というのは、現在のAVアンプでパワーが足らないということはまずないからです。

アンプの出力表示は、どのくらい大きな音を出したら波形がクリップするかを決めているスペックです。つまり、どのくらい大きな音が出せるかだけを表示しています。

もちろんクリップしてしまうと音質は劇的に悪くなりますので、出力表示そのものは無意味ではありません。しかしかないまるの会社の試聴室で映画を大迫力でデモしているときでも、TA-DA5300ESの出力でクリップしたということはほとんど経験がありません。また150Wと155Wは事実上全く差はありません。したがって、パワーと音質は全く関係ないと考えていただいて結構です。

では音質は何で決まるかというと、一番効くのが電源の容量が大きいか小さいかです。もちろん容量が大きい方が音がよくなります。それはパワーを取り出したときに電源電圧の変動が少ないので、回路が安定に動作するからです。つまり、同じ出力ならトランスが大きいアンプはよい音がします。

ご質問のTA-DA5300ESとTA-N9000ESのケースですが、出力の差はわずかです。しかし電源の容量は1チャンネル当たりで考えると2倍近い開きがあります。TA-DA5300ESはデジタル回路や映像回路をたくさん持ち、中身がギュっと詰まったAVプリメインアンプです。パワーアンプが使える電源容量はどうしても単独パワーアンプとは違うのです。

次に使っている部品のグレードやシャーシの強度によっても音質は大きく変わります。たとえば、TA-N9000ESのパワートランジスタはTA-DA5300ESのものの二倍の大きさがあります。TA-DA5300ESは同じ価格帯のAVアンプの中ではトランジスタは安定で大きなものを使っていますが、TA-N9000ESはもっと大きいのです。大きいトランジスタはスピーカをドライブする力が強いので、やはりよい音がします。

シャーシも丈夫なほうが音質がよくなります。シャーシが弱いと回路基板が振動し、その上に載っている部品の伝達関数が変動してしまうため、波形が変化して音質が悪くなるからです。TA-DA5300ESとTA-N9000ESではTA-N9000ESのほうがシャーシは丈夫です。

というわけで、オーディオアンプというのは、出力スペックでは音質はほとんど決まらず、出力以外で音質を決める部分がたくさんあるということです。

以上の話は、オーディオに入門すればいやでも遭遇することです。機器を変えれば音が変わり、高級機には高級機の良さがあります。かないまるは比較的安価のAVアンプの音質をかなり次元の高い領域に高める仕事をしていると思っていますが、パワーアンプだけで考えて二倍以上のコストの開きのある音の差は埋められるものではありません。ほかの人が作ったパワーアンプならAVアンプで抜けるかもしれませんが、TA-N9000ESもかないまる自身が作った入魂作なので、それはありません。

オーディオは奥行きのある世界です。いくらでも高い次元の音があります。どうかいろいろと勉強して、人生の趣味として深くお楽しみいただければと思います。