AVQ&A

7.1チャンネルアンプで9.1チャンネルのレベル設定を行う方法

初校 090506

「日本音響家協会」の会誌「SOUND A&T」 2008年4月1日発行で、「7.1チャンネルアンプで9.1チャンネルのレベル設定を行う方法」を公開しました (初出記事となります)。
この記事はこのホームページに転載してあります。該当項目は第6項で、雑誌記事としては十分な文字数は割いたつもりですが、やはり難しかったようで「もっと詳しく」というメールを良くいただきます。しかし詳しく書くとなるととっても大変なので「あとで書きます」で逃げ回っていました。
しかし質問が多いので、連休を一日つぶして書いてみました。これ詳しく、わかりやすくは現状無理なので、これでできる方のみ挑戦してください。



・ご質問

7.1chアンプを9.1ch化するレベル配分について質問です。現在、7.1チャンネルですが、どのようにしたら良いのでしょうか?レベル配分、記載されていましたが初心者で理解ができません。図7にあるSPだと、どこのSPに接続して、どのように配置したら良いのでしょうか?


・お答え。

まず、図5のSL(A)、SL(B)を並列接続または直列接続にしてアンプのSLに接続します。次に図5のSR(A)、SR(B)を、並列接続または直列接続にしてアンプのSRに接続します。つまりアンプ側からみると、SL、SR各端子には二つずつのスピーカがつながっている状態となります。SBLとSBRは一個ずつを普通につなぎます。

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・ご質問

サラウンド(A)スピーカと、サラウンド(B)スピーカは違うものを使っても構いませんか。

・お答え

SL(A)、SL(B)、SR(A)、SR(B)の4個はできる限り同じスピーカを使ってください。サラウンドスピーカを一組から二組に買い足す場合も、できる限り同じものを追加購入してください。
違うスピーカを使うと、(A)と(B)の音圧が同じにならないので、バランスをとるのが非常に難しくなります。

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・ご質問

二個のスピーカは並列接続にするのですか。直列接続にするのですか。


・お答え

アンプのインピーダンス表示と、二個の合成インピーダンスの関係で決めてください。



上の図で並列接続の場合はスピーカインピーダンスが半分になります。つまり8Ωのスピーカを並列接続にすると4Ωになります。この場合、アンプが4Ωポジションを持っていればこの条件で結構です。

アンプに並列接続での合成インピーダンスを使えるポジションがない場合は、直列接続を使います。たとえば8Ωのスピーカを二本直列にした場合はインピーダンスは二倍の16Ωになります。

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・ご質問

並列接続と直列接続のどちらが音がよいですか。


・お答え

スピーカは低い出力インピーダンスで使うことを前提に作られています。インピーダンスが高いと周波数特性が変化するのです。したがって基本的には並列接続のほうがよい音になります。

しかし全く同じスピーカを直列接続にした場合は基本的には周波数特性は変わりませんので使うことが可能です。実際の映画館でも一台のアンプに多数のスピーカを並列接続と直列接続を組み合わせて使っていることが多いのが実態です。直列接続にするとものすごく音が悪くなるということはありませんのでご安心ください。


なお、アンプに4Ωポジションがあり、二個のスピーカが各6Ωで合成インピーダンスが3Ωというようなぎりぎりのケースについて 1-4(前々項)1-5(前項) に記載がありますので参照してください。

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・ご質問

現在7.1チャンネルです。9.1チャンネルにした場合、どのように配置したらよいのでしょうか。


・お答え

この質問は三つ上のQ&Aに書いてあるんですが、なぜかメールがたくさん来るFAQとなっています。三つ前の1-3項をお読みください。必要なことはそこに書いてあります。


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・ご質問

7.1chアンプを9.1ch化するレベル配分について質問です。サラウンドSPをサラウンドスピーカ端子に接続し、自動音場補正機能でレベル調整をしました。その後からは、どのように設定していけば良いのでしょうか?

・お答え

自動測定だろうが、マニュアル測定だろうが、7.1チャンネルで音量を揃えてから、その値にオフセットを加えると理解してくだいさい。まずオフセットの値は次の表のとおりです。

映画のタイプチャンネルオフセット値
5.1チャンネル映画、
またはプロロジック再生
SL、SR+1.5dB(音量を上げる)
SBL、SBR−1.5dB(音量を下げる)
6.1チャンネル以上
(サラウンドEX映画など)
SL、SR0dB (変更しない)
SBL、SBR0dB (変更しない)

7.1chアンプを9.1ch化するためのレベルオフセット
(サラウンドスピーカを二個とも鳴らして調整した場合)

オフセットはGUIモードではなくて表示管モードで説明します。GUIモードで使っている人は、まずリモコンのGUIモードボタンを押して表示管操作のモードにしてください。

リモコンのメニューボタンを押して何らかのメニュー項目(たとえばレベルメニューやHDMIメニューなど)を表示させ、上下キーを使って LEVEL メニューを表示してください。

次に一つ下の階層に入ります。DA3200ES以後はLEVEL メニューでENTERキーを押してTEST TONE [OFF] を出します。次に上下ボタンを押して、「surround left 〜dB」まで進んでください。

自分でレベル設定をやった方はここまで簡単に行けますね。自動補正でやった人は、この「〜」の部分になにか数字が入っているはずです。この数字に上記オフセットを加えます。

たとえばSLが「-4.5dB」となっていたら、1.5dB音量を上げて、「-3.0dB」にします。SLとSRは1.5dB上げ。SBLとSBRは1.5dB下げます。

以上は5.1チャンネル映画の場合で、surroundEX映画(6.1チャンネル映画)の場合は、レベルオフセットをしません。

7.1チャンネル映画というのはいまのところ映画館用の音源は存在しません。映画館は5.1チャンネルまたは6.1チャンネルしかなく、最近はサラウンドES(6.1チャンネル映画が事実上なくなり5.1チャンネルに回帰しているほどです。


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・ご質問

レベルオフセット値が±1.5dBとなる根拠を教えてください。

・お答え

5.1チャンネル映画を7.1チャンネルで再生する場合の各スピーカから出るべき音圧レベルは下記の値となります (自動音場調整後各スピーカはこの出力条件になります)。

サラウンドが-3dBで鳴るわけですが、-3dBというのは二本同時に鳴らして0dBとなる音量です。7.1チャンネル配置で5.1チャンネル映画を再生する場合は、ソフトに含まれるサラウンドLチャンネルの音声を、SLとSBLから等音量で同時再生します。これがフロント1チャンネルと同じ音量になるのが正しいので、SL=SBL=-3dBとなっているのです。右側のSR、SBRも同じ。

では、9.1チャンネル全部接続して測定すると各スピーカの出力条件はどうなるでしょう。答えは下記です。

SL(A)とSL(B)が3dB下がってしまいましたが、これは二本同時に鳴らすと音圧が合成で3dB上昇するからです。これは自動調整を使わずに耳でテストトーンを聴いて音量調整したり、騒音計を使って調整しても基本的に同じになります。

では9.1チャンネルスピーカで5.1チャンネル映画を再生する場合、SL(A)、SL(B)、SBLの各スピーカは一体どのような音量で鳴るべきなのでしょう。答えは下記です。

なぜかというと、スピーカを3本同時に鳴らして合成値が0dBになる条件は、一本あたり-4.5dBだからです。

これで「補正値」の正体がわかりましたね。差分値は出力音量B (測定後の値) と、出力音量C (実際に鳴らしたい出力音量) の差分なのです。

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・ご質問

マニュアルでレベルの調整をしていますが、SL(A)とAL(B)を同時に鳴らすと音量を調整しにくいんですが、いい方法はありますか。

・お答え

これはオフセット方法などや原理はちゃんとわかっているが自動音場調整はついていないアンプをお使いの方からのご相談でした。耳だけでレベルを合わせようとすると、フェイズノイズやフェイズオーディオの機能を使ってレベルを合わせていただくことになりますが、サラウンドが2本同時に鳴ると調整がしにくいのは事実です。

この場合、騒音計を使うという方法もあるんですが、耳だけでなんとかする場合は、SL(A)だけ、またはSL(B)の一本だけを接続して、まず7.1チャンネルとして調整します。

調整された値は7.1チャンネル接続用のものですから各スピーカは(出力音量A)で鳴るようになります。つまり、

スピーカはアンプと並列接続された場合は、何本つなごうが一本の出力は同じです (だからつなげばつなぐほどアンプの発熱はおおきく鳴るわけです)。つまり SL(A)で調整すると、SL(B)をつないでもSL(B)からはSL(A)と同じ音が出てきます。したがって7.1チャンネルで音量調整後にサラウンドを単純に並列接続で二本にした場合の出力音量は下記となります。

これは、9.1チャンネルの目標条件 (出力音量C) に対してSL、SBL、SR、SBL各チャンネルともに1.5dB大きいので、補正値は下記となります。


映画のタイプチャンネルオフセット値
5.1チャンネル映画、
またはプロロジック再生
SL、SR−1.5dB(音量を下げる)
SBL、SBR−1.5dB(音量を下げる)
6.1チャンネル以上
(サラウンドEX映画など)
SL、SR−3dB (音量を下げる)
SBL、SBR0dB (変更しない)

7.1chアンプを9.1ch化するためのレベルオフセット
(サラウンドスピーカを一組だけ鳴らして調整した
あとでサラウンドスピーカを二組に増やす場合)


う〜ん。わかるかなあ。とりあえずあわてて「わかりません」と追加質問しないで、良く考えてくださいね。現状、これ以上の説明は無理です(これだけで半日かかってますし(^_^;))。