はたけやま裕って、どんな人?


初稿 090105




はたけやま裕 (以下裕ちゃん)というパーカッショニストをご存じでしょうか。ステージ上に10個を超える打楽器が並ぶ。叩くのは、裕ちゃん一人。曲がはじまると、楽器たちは鼓動をはじめ、空間を押し広げ、独特の宇宙がひろがります。

パーカッションの腕は相当にいい。というか信じがたいほどうまい。

その裕ちゃんの宇宙を、「アナログ2チャンネル」と「SACDマルチチャンネル」 という二つのスタイルで同時に作品化したい。これが今回のプロジェクトだそうです。そのうち、マルチチャンネル音源の仕上げが、今回のかないまるへの依頼です。



裕ちゃんはなんでも指と手で楽器を叩きます。でも彼女の指をさわらせてもらうと、とても柔らかいんです。普通の女性の指で、特に硬くなっているわけではありません。

でも、ふと試聴室にあった安物のスピーカスタンド (トップが鉄板でできたもの) を指で叩いてもらったら、まあ驚いた。楽器ように音が出てきました。「タンタン」とよく響くこと。かないまるも指の形を同じようにしてまねして叩いてみましたが、ボソボソと情けない音が出るだけ。

次第に興が乗り「タンタン、トン、タタタン、タンタン」とリズムがはじけてきます。試聴室の空気が敏感に反応しあっと言う間に音楽が広がりました。この人が天才パーカッショニストであるということがそれで理解できました。



楽器に取り囲まれた裕ちゃん。「なんでも指で叩く」と書きましたが、シンバルも手でたたいてしまうのはちょっと驚きました。「それが好きだから」と彼女はいいますが、それはスピード感の落ちない演奏を続けられるということなのかもしれません。

柔らかくふっくらした音もするどい音も、その指のタッチがシンバルに心を与えるかのように自由自在に音を織りなします。



録音もライブも、楽器のセットアップは入念に。叩きたいとき叩くべき楽器がそこにあること。民族楽器が、そして子供のおもちゃまでもがセットされて行く。それはたとえば子守歌の曲想にあわせて演奏される楽器たちなのです。

ステージでは打音は観客席に響きます。録音ではマイクに音が吸い込まれ、その振動は電気の糸でつながって、かないまるの試聴室までやってきます。そして、いままで体験したことの無いほどの大きな宇宙をそこに描きだしました。

オーディオファイルが望んでやまない、音がちりばめられて躍動する自然空間。マルチチャンネルが生み出す空間芸術がそこに広がってゆくのです。




裕ちゃんの叩く楽器は本当に多彩です。

この画像で裕ちゃんが抱えているのはジャンベという西アフリカの低音楽器。ドーンというその大きな響きは、マルチチャンネル空間をよく埋めつくします。よく調整されたアナログ再生システムなら、これもまた別のスタイルでいきいきと空気を震わせるでことしょう。

このほかミックス中には、カホーン、へボロ、ティンバレスなど、かないまるがいままで聞いたことのな楽器名にたくさん出合いました。音そのものはどこかで聴いたことがあるものもありますが、初耳のものも。でも、どの楽器もなんとよい音で響くこと。曲によっては足鈴、でんでん太鼓、マンドゥック (蛙の声を出すおもちゃ)、鳥笛、そして直系何メートルという、今まで聴いたことの無い大きなサイズのドラの音も登場してきます。

もちろん、タンバリン、シンバル、スネアドラムなど、ごく普通の近代西洋楽器も使われ、それらが一体となって打楽器アンサンブルを生み出して行くのです。

その音達は、デジタルシステムにとってもアナログシステムにとっても、オーディオ再生の楽しさを心から感じ取れる最高の音を放つ潜在能力をデジタル符号に、そしてアナログの音溝に秘めています。そして、それを空間に解き放たつことに成功したとき、はたけやま裕の世界がオーディオファイルのすみかに再現されるのです。



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