新型コロナ特設ページ



開始2020/04/12
更新


かないまるは実は肺に持病があります。重症化のリスクは高いそうで、新型コロナは怖いです。なのでずっと注視していますが、気づいたことを記録しておこうと思います。


10)窓で移動平均する考え
20200425

このページでは、感染者数を対数グラフで扱ってきました。感染拡大は指数関数なので、リニアグラフでは絶対に把握できません。政府の諮問機関の専門家会議はリニアグラフで扱っていますが、これで正確な判断ができるとは到底思えません。「オーバーシュート」などというありもしない間違った概念も感染動向をリニアグラフでみているから生まれるのです。

例えばダイオードの印加電圧と電流の関係は指数カーブですが、電子工学をかじった人間ならこれをオーバーシュートなどとは決していいませんね。医者の世界がいかに工学の常識に照らして素人の集団であるかがわかります。

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さて、従来の記事では感染者数を対数でプロットした上で、傾向認識はデータの中央にヤマカンで線を引いておこなって解釈していました。その結果、
  • 海外に比べると日本の感染拡大率は低いこと。
  • 自粛要請などの施策は、概ね10日で効果が出ること
    (一般に2〜3週間と言われていますが、そんなにかかっていません)。
という事象がわかりました。

しかし、データがばらつきすぎて、どう線を引いたものだか困ることもありました。「引き方に計算式というか、ルールはあるのですか」という質問もいただきました。

そこで、FFT解析などで解析範囲のために有限個のデータを切り出すときに、不要な側波帯が発生するのを防止するためにつかわれる窓関数とを試してみました。

その結果、高周波成分である「日々の細かい増減」が消えつつ、低周波成分である流行の動向が歴然とみえるようになりましたので、公開することにしました。




11)解析に使った窓関数
20200425

窓関数とは、例えばFFT解析でつかわれるハミング/ハニング窓のように、解析区間の両端を滑らかにフェードアウトして、不用意な成分がでないようにするものです。

このような窓を移動平均用の窓として使うことはあまり無いようですが、窓を一種のデジタルフィルタと考えれば滑らかに帯域が絞れる効果があります。

いろいろな窓を試したり、試作してみたりもしましたが、AAC圧縮のときに時間波形から周波数成分を抽出するときにつかわれるKaiser-Bessel-derived窓 (以下KBD窓) というのを試したら具合がいいことがわかりました。



これがKBD窓です。

本来はFIRのように、現在の時刻を中心に過去と未来が対象なものですが、感染者傾向は発表された当日に動向を知りたい、つまりリアルタイムにみたいので、過去側である左半分だけを使いました。



これがフィルタとしての代表的な応答である、ステップ応答 (矩形波応答) とインパルス応答です。

この解析では、当日をふくむ4日程度のデータを中心に、過去9日間のデータを重み付け平均した値をプロットが通っていきます。一日単位の分散(凹凸)は消えます。単純な移動平均より単発減少の消え方が滑らかで神経質な動きに見えにくい利点があります。

インパルス応答から明らかなように、一週間以上前のデータはプロットに影響しません。



12)東京と全国の感染拡大率推移
20200426

では実際の解析結果です。



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ではプロットをみてみます。

プロットにはピークやディップが見えますが、インパルス応答からわかるように若干の遅れがありますが、ピークやディップは1〜2日遅れくらいで出力されます。

以前と同じように対数グラフなので、プロットの傾きはその時期の感染拡大率です。

この解析で指摘した要素は次の5点です。
  1. 首相の「二週間のイベント自粛」要請の効果はわからない
  2. 二週間のイベント自粛要請明けが恐ろしい
  3. 3月の三連休は悪さをしていないが、直後の花見の抑止は効いている
  4. 都知事の感染爆発会見は瞬間的に効果があっただけ
  5. 緊急自体宣言はじっくり効いている
まず、1)首相のイベント自粛要請」です。まず東京ですが、3/8くらいから拡大抑止が見えますが、これはまだクラスターを見つけてはつぶしていたころなのと、潜伏期間を10日とすると落ちるのが早すぎます。全国をみると3/15ごろから抑止がかかっていますが、効果としては少し遅すぎるような気がします。つまり効果はよくよく分かりません。

問題は「2)二週間のイベント自粛要請明け」です。これを指摘した識者はいませんが、東京で3/23〜29の一週間、恐ろしい速度で感染が拡大しています。後ほど海外の解析と並べますが、東京のこの一週間はかなり怖い水準でした。全国的にも3/25くらいを起点に感染が急拡大しています。

一般に「3月の三連休で気が緩んで感染が拡大した」とされていますが、これは間違いだと思います。その前の土日からの一週間がヤバかったのです。

次の3)「三連休後の花見の抑止は効いている」です。
3/30を起点に感染拡大率がはっきり落ちています。これは、三連休の花見が徹底的に非難されたため感染が抑止されたのが、潜伏期間を経て見えていると解釈できます。これは東京、全国ともにはっきり見えます。

次です。4)「都知事の感染爆発会見」は小さな段を作っていますが、その前後で拡大率は変わりません。つまり記者会見から数日間は短期的に気が引き締まっていますが、実は一旦元に戻っています。その後いろいろな対策が効いて感染率が下がり始めたのが、4/12とみられます。つまり効果はなかったということがこの解析でわかります。

最後の「5)緊急事態宣言」は、都知事の記者会見後の抑止が一旦効かなくなった4/18ごろ、再び下降局面になるのに現れています。

それにしても「緊急事態宣言」は効きが弱いように思われます。念仏では流行は止まらないという感じがします。



13)海外の解析。
(20200427)

同様の窓解析で、海外をみてみます。



アメリカ、ドイツ、フランス、イタリアをKBD窓解析してみました。比較のため、日本(全国)も重ねました。基本的に終息期に入っているので、減衰率を数値化してみました。

日本は-0.3dB/day。一日3.3%ずつ減衰しています。現在の水準から10人(20dB)以下になるのに140日かかります。3月の水準にもどるのにも二カ月かかる遅さです。今の水準なら緊急事態宣言の解除なんてとんでもないです。

優等生であるオーストリアの減衰率は-1dB/dayです。毎日10%ずつ減っています。すでに100人を切っていますが、あと20日ほどで一桁人になる計算です。

フランスとドイツは同じグループです。日本より速く、オーストリアより遅い。率は-0.5dB/day。毎日5.5%くらい減っています。

アメリカはヒドイですね。水平でまったく減衰していません。0dB/dayです。イギリスも同じグループといえます。




ニューヨークが経済活動を再会するようなニュースがあったのでデータを探してきました。
ソースはニーヨーク市のサイトです。集計の違いかニューヨークが全米を追い抜くところがありますが追求しないことにします。

結果ですが、まずニューヨークの感染爆発のすごさがわかります。たった10日で1000倍(40dB)はものすごいですが、初期にCDCが配った検査キットがだめだったそうなので、検査をやりなおしてみたら感染者だらけだったということでしょう。

近日は-0.5dB/dayで減衰局面に入っていることがわかります。つまりドイツやフランスと同じ減衰率ですね。日本より減衰が速いです。

全米の感染者が長期間変わらないのは、対策が効いていないというより感染が点から面に広がり続けているということでしょうか。日本は東京と全国の動きがほぼ同じですが、アメリカはやっぱり広いんですね。








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